2015/10/31
2003年に行われた「がんの社会学」に関する合同研究班(代表・静岡県立静岡がんセンター山口建総長)による「がん体験者の悩みや負担等に関する実態調査報告・がんと向き合った7,885人の声」(調査1)と、一般社団法人CAN netが2013年に行ったがんに関する意識調査(調査2)とを比較してみると、がん患者の悩みごとや、相談についての実態が見えてくる。
悩みごと・困りごとのランキングでは、2003年(調査1)には1位「精神的なこと」、2位「病気・身体のこと」、3位「生き方に関すること」であった。2013年の調査2では、1位「気持ちのこと」、2位「病気のこと」、3位「家族のこと」と3位が変化している。また、病気のこと以外にもさまざまな悩みごとが発生していることがわかる(図1)。これは、2007年のがん対策基本法施行などがん医療の基盤整備が進んだためとも考えられる。
調査2において、がんに関する既存の相談窓口がどの程度認知されているかを調査したのが図2である。「患者会」「ソーシャルワーカー」などのことを知っている人が多い一方、がん拠点病院の「がん相談窓口」やがん検診センターが行っている「がん相談」については認知度が低いことがわかる。民間企業やNPOが実施している相談窓口の認知度は、さらに低い。
これらの結果をみると、がんになった際に抱える悩みごと・困りごとは多岐にわたること、その中でも特に「精神的なこと」「気持ちのこと」が大きな比重を占めることがわかる。そして、既存の相談窓口についての認知度は低く、これらの相談で患者さんの気持ちの解決に十分な効果を上げているかは不明である。
また、「暮らしの負担」に関連して調べた就労状況では、がんと診断された後、依願退職や解雇になった人の割合は3割以上と、国などの就労対策の効果があまりみられていない現状となっている。
詳しくは、各Webサイトを参照
[調査1] 静岡県立静岡がんセンター http://cancerqa.scchr.jp/sassi1.html
[調査2] 一般社団法人CAN net http://can-net.jp/can-net%E3%81%A8%E3%81%AF/
■上記ニュースに関連したディアケアコンテンツをご覧いただけます。
×close
×close
×close
©DEARCARE Co., Ltd.