2015/12/10
在宅での看取りでしばしば問題視されるのが、死亡診断書の問題である。9月末に出された一部のニュースで、「死亡診断を看護師が代行できるような検討が始まる」といったトーンの記事が出されたことで話題となった。日本看護協会が提案している「在宅での看取りにおける死亡診断の要件緩和」では、現行の医師法第20条の但し書きの見直しを求めている。2015年10月23日に開かれた、政府の規制改革会議の健康・医療ワーキンググループ会議では、日本看護協会が看取りの困難例を挙げて具体的要望を提案した。要点を整理してみよう。
医師法第20条では以下のように規定されている。
「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。」
この規定では、医師は診療後24時間以上経って在宅で死亡した患者に対してはすべてにおいて死後診察が必要ということになる。
日本看護協会では、「在宅や介護施設の患者の中には、主治医による速やかな死後診察が物理的に受けられない困難ケースが存在するため、これでは“安らかな看取り”にならない」という点において要件緩和の申し出をしている。例えば、主治医が遠方に出張しているときに在宅患者が心肺停止状態となり、主治医が到着するまでご遺体をそのままにしておかなければならなかったケースや、特別養護老人ホームなどで、看取りや死亡診断の目的で、入所者を病院搬送せざるを得ないケースなどがあることなどを問題視している。そこで、医師法第20条但し書きの要件を以下のように見直して欲しい旨を要望している。
●日本看護協会の提案
医師法第20条但し書きの要件を見直し、「終末期の対応について事前の取り決めがあり、医師が終末期と判断した後に死亡した場合」で、かつ「地理的理由等により、医師による速やかな死亡診断が困難な場合」についても、日常的にケアを行っていた看護師が、事前に医師と取り決めた確認事項に基づいて医師に状況を報告することにより、医師の死後診察を経ずに死亡診断書が交付できるよう、要件緩和を図られたい。
先に述べた報道により、「看護師が死亡診断を代行する」というような誤解も一部で生じていたようだが、この提案では、「死亡診断書を交付するのはあくまで医師である」という立場が貫かれている。ワーキンググループでは、今後ヒアリング等を行い、来年6月までに結論を取りまとめる予定である。
詳しくは、下記の内閣府Webサイトを参照
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg4/kenko/151023/agenda.html
■上記ニュースに関連したディアケアコンテンツをご覧いただけます。
×close
×close
©DEARCARE Co., Ltd.