2016/01/15
高齢者の摂食嚥下障害、そして栄養リハビリテーションは近年注目を集めている分野である。その背景には、摂食嚥下障害の主な原因である脳卒中をはじめとして、認知症やパーキンソン病などの神経筋疾患、そして咽頭・喉頭がんなどが増えていることが考えられる。高齢者の「食べることへの支援」は、病院の中だけでなく地域も巻き込んで本格的に取り組むべきことで、そのためには地域にあるさまざまな医療・介護資源を有効につなげることが必要となる。しかし、現状では摂食嚥下障害に関わる資源間の連携は十分とはいえない。入院中は摂食嚥下リハビリテーションを受けられても、退院後、家の近くでリハビリテーションを受けられる医療機関が見つからないことが往々にしてあるようだ。摂食嚥下リハビリテーションを在宅ベースで進めるためには、歯科医、耳鼻咽喉科医、看護師、言語聴覚士、歯科衛生士などさまざまな職種が有機的につながって、摂食嚥下アプローチを行わなければならない。
そこで、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科・戸原玄准教授らの研究班は、厚生労働省の研究費を受け、摂食嚥下に携わる医療機関や介護事業所などを示すマップ作りに着手した。そして、専門の検査やリハビリテーションを受けられる全国の医療機関などの情報を「摂食嚥下関連医療資源マップ」として作成し公開している。
このマップに掲載されているのは、全国の約840か所の病院、歯科診療所、医科診療所、訪問看護ステーション、介護保険施設などの施設で、患者の住所を入力するとその近隣で摂食嚥下リハビリテーションを受けられる医療機関などを検索できるというものだ。嚥下内視鏡検査、嚥下造影検査、嚥下訓練などの医療・支援提供ができるかどうかの検索に限らず、訪問診療の可否についても記載されており、訪問診療が可能な圏内(各拠点から16km以内)を円で囲んで表示する機能もついている。同サイトでは現在も医療機関の追加登録を受付け中である。
当研究班は、今後地域での連携の手順をまとめたガイドブックを作成し、ウェブ上で公開する予定となっている。「食」を通じたネットワークが着実にできつつあるようだ。
詳しくは、下記の各Webサイトを参照
厚生労働科学研究委託費.長寿・障害科学総合研究事業.高齢者の摂食嚥下・栄養に関する地域包括的ケアについての研究(業務主任者:戸原玄).平成26年度 委託業務成果報告書.平成27(2015)年3月
http://www.swallowing.link/wp-content/uploads/2015/08/53ec1c731d468d5be97cd0385ffca0fa.pdf
摂食嚥下関連医療資源マップ
http://www.swallowing.link/
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