2016/01/25
健康維持のために栄養の充実は欠かせないが、所得が低い人ほど栄養バランスの欠けた食事をとっているという結果が示された。これは、厚生労働省が2015年12月9日に発表した「平成26年国民健康・栄養調査」の結果を踏まえたものである。この調査は、2014年11月に無作為に抽出した5,432世帯を対象に実施し、3,648世帯(67.2%)から有効回答を得たものだ。同調査では、肥満の増加に歯止めがかかった一方で、女性の「やせ」志向が続いていること、65歳以上の高齢者では低栄養傾向の人が17.8%もいると報告している。
調査では、世帯所得が200万円未満、200万円以上600万円未満、600万円以上の3つに分けて、生活習慣病について比較した。それによると、世帯所得が600万円未満の中・低所得者層は、600万円以上の高所得者層より食事が主食(穀類)に偏り、野菜や乳類の摂取量が少ないなど、栄養バランスが欠けている傾向があることが示された。
食品群で見ると、低所得者層は穀物類だけが高く、野菜類や肉類、きのこ類、卵類、乳類など半数以上の項目で高所得者層より摂取量が少なかった。穀類の1日当たりの摂取量は世帯所得が600万円以上の男性で494.1gだったが、200万円~600万円未満は520.9g、200万円未満では535.1gだった。女性もそれぞれ352.8g、359.4g、372.5gと、所得が低いほど穀類の量が多いことがわかる。野菜の摂取量を見ると、所得600万円以上の男性は322.3g、女性313.6gだったが、200万円未満では男性253.6g、女性271.8gと少なくなっており、肉の摂取量も野菜と同様の傾向が示された。
図1 所得と食生活の関連
また、健康診断の受診状況を見てみると、健康診断を受けていない人の割合は、男性では600万円以上は16.1%なのに対して200万円未満は42.9%と、低所得者ほど高いことがわかった。女性でも600万円以上は30.7%なのに対して200万円未満で40.8%であった。また、1日の歩数を見ても、所得が多いほど歩数が多い傾向があった。
厚生労働省では「所得の低い人は時間的にも精神的にもゆとりが得られにくく、食事で多くの食材を使うなど手間をかけることを避けてもいる。健康に対するセルフケアに関しても、意識が回りづらいのではないか」と分析している。
肥満、やせの状況を見ると、BMI(体格指数)が25以上の「肥満」の男性の割合は28.7%で、年代別では50歳代が34.4%と最も高かった。それでも調査開始から続いてきた増加傾向に落ち着きが見られている。
女性では、「肥満」の割合は21.3%、「やせ」の割合は10.4%となっている。やせの女性は20歳代が17.4%と最も多く、30歳代が15.6%、40歳代が10.9%であった。女性の痩身志向は年代にかかわらず続いている。若い女性が「やせ」傾向にあるとホルモンバランスが乱れ、高齢者の場合は低栄養の原因になる。
図2 肥満者の(BMI≧25kg/m2)の割合(20歳以上、性・年齢階級別)
65歳以上でBMI20以下の「低栄養傾向」にある人は17.8%に上り、高齢者(85歳以上)では23.6%に上った。高齢者の低栄養は、フレイルティ、サルコペニア等につながることから、適切な栄養管理の必要性が強調されている。
詳しくは、下記の厚生労働省Webサイト参照
平成26年「国民健康・栄養調査」の結果(厚生労働省 平成27年12月9日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000106405.html
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