2016/01/28
国立研究開発法人国立がん研究センターによる「全国がん登録」が、2016年1月から始まった。「全国がん登録」は、日本国内でがんと診断されたすべての人のデータを、1つにまとめて集計・分析・管理する新しい仕組みである。
これまでは、「地域がん登録」制度によって、都道府県がそれぞれの自治体内で診断されたがんのデータを集めたものがあった。このシステムでは、住んでいる都道府県以外の医療機関で診断・治療を受けた人や、がんにかかってから他県に移動した人などのデータが重複する可能性があり、正しい情報が把握できないことが指摘されていた。さらに、すべての医療機関が地域がん登録に協力しているわけではないため、すべてのがん患者のデータ集積ができないという問題点があった。そこで、国が法律を整備して、新たに「全国がん登録」制度を作った。
これにより、全国すべての病院と都道府県知事から指定を受けた診療所に実施義務がある「全国がん登録」と、がん診療連携拠点病院の指定要件である「院内がん登録」に関するデータ収集・分析などが可能となった。
この制度が始まることで、居住地域にかかわらず全国どこの医療機関で診断を受けても、がんと診断された人のデータは都道府県に設置された「がん登録室」を通じて集められ、国のデータベースで一元管理されるようになる(図1)。
図1 新しくはじまる「全国がん登録」の仕組み
がん登録では、罹患数、進行度、生存率など、がんにかかわるさまざまな統計情報を得ることができる。こうした全体の傾向をみることにより、国や都道府県での効果的な対策につなげると同時に、医師と患者が治療方針を考えるうえでの貴重な情報になることが期待されている。
さらに、同センターでは、全国がん登録のデータをオンラインで提出できるようにするためのシステム構築にも取り組む予定だ。コンピューター上からネットワーク経由で提出できるようになれば、登録が非常に簡便になる。2016年から約90項目になる院内がん登録のデータを提出すれば、自動的に全国がん登録のデータファイルが出力されるシステムを作成中である。
この制度の運用において最も気をつけなければならないのは、個人情報が漏えいして患者のプライバシーや権利が侵害されることのないようにすることだ。そのため、「がん登録等の推進に関する法律」では、個人情報の保護や管理、罰則に関する規定が厳しく定められている。
詳しくは、がん対策情報センターWebサイト参照
■上記ニュースに関連したディアケアコンテンツをご覧いただけます。
×close
×close
©DEARCARE Co., Ltd.