2016/03/11
高齢者の入浴事故(心肺停止、脳血管障害、溺水・溺死など)の件数は交通事故よりも多いということをご存知だろうか?平成26年のデータでは、自宅の浴槽での溺死者数は4,866人で、そのうちの約9割が65歳以上の高齢者である。高齢になるにつれて環境の変化に影響を受けやすく、血圧や心拍数の変化に対する自律神経系の反応が低下していることが原因として挙げられている。
室温と脱衣所・浴室との温度差、また体温と湯の温度差は、血圧の急激な変化をもたらし、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞の引き金となる。さらに、入浴に伴って身体が温められると、末梢血管は拡張し、湯につかる水圧(静水圧)で静脈還流が増加するため、血圧および心拍出量が増加する。このような状況は、高齢者の虚血症状の原因となりやすい。浴槽内で立ち上がったときにめまいや失神を起こしやすくなるのは、静水圧が解除されて心拍出量が低下するためだ。
入浴中の事故を防ぐため、以下の注意点が挙げられる。
①入浴前に脱衣所や浴室をあたためる
②湯温は41℃以下とし、長湯をしない(目安は10分まで)
③浴槽から急に立ち上がらず、ゆっくりと立ち上がる
④飲酒や食事直後の入浴は控える
⑤入浴前に家族などに声をかけ、見回ってもらう
これらを知っている人は多いが、意識して守るのは難しい。特に独居高齢者の増加は、見回りをしてくれる相手がいないため、異変に気づくのが遅れ、高齢者の入浴事故件数を増やす一因ともなっている。
入浴中の事故死は12月から2月の冬季に全体の約5割が発生しているという報告もある。風呂文化を大切にしたいからこそ、安全な入浴を心がけたい。
●入浴事故のメカニズム
詳しくは、下記の消費者省Webサイト参照
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/160120kouhyou_2.pdf
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