2016/03/15
急速に高齢化が進み、認知症高齢者は増加の一途である。認知症の人をめぐる事故の報道はあとを絶たず、地域で支える体制づくりが望まれている。
認知症の人と介護者を支える取り組みの1つとして、各自治体では「認知症カフェ」を開催するところが増えている。これは、2016年1月に発表された新オレンジプランで、「認知症の人の介護者の負担軽減」の目標として新たに掲げられた取り組みである。認知症の人や家族が、地域住民や専門職とお茶を飲んだり食事をしたりしながら情報を共有する場で、2014年度には655か所で開催されている。2018(平成30)年度からすべての市町村で認知症地域支援推進員が配置され、彼らが地域の実情に応じたカフェを企画・実施する。認知症地域支援推進員は医療と介護サービスのパイプ役として、認知症の人が住み慣れた地域で住みやすい環境の下に暮らし続けられることを目指して、認知症に関する施策や事業の企画調整等を行うというものだ。主な担い手は看護師や保健師で、国は平成29年度末までに、700人の認知症地域支援推進員を養成する計画だ。
一方、さまざまな事情で認知症カフェに参加できない人の閉じこもり防止策として期待されているのが、「認とも」制度である。厚生労働省が命名した「認とも」は、認知症の人の自宅を積極的に訪問し、話し相手や相談相手となって、患者・家族の生活を支援するというものだ。選出は認知症カフェで患者・家族と顔なじみのボランティアの中から、認知症地域支援推進員によって行われ、認知症の人との接し方についての基本的な講座を受講した「認知症サポーター」や、地域貢献や介護に関連する仕事に関心高い、地域住民、学生らが務める。
閉じこもりは歩行障害や廃用症候群の発生リスクを高めるだけでなく、介護者への負担を重くし、介護離職のリスク因子とも考えられている。今回の「認とも」制度は、認知症の人の外出を促し支援することで廃用症候群を予防し、介護者の負担を軽減させる仕組として大きな期待がかかっている。厚生労働省は、この「認とも」を活用した自宅訪問を実施する市区町村への活動費として、2016年度予算案に助成金などの関係費約26億円を計上している。
認知症対策の国家戦略として、「認とも」が地域に根づくためには、認知症に対する正しい理解を深め、押し付けにならない患者中心のケアを学ぶ場も必要だ。要請講座などの座学と認知症カフェでの患者・家族との交流という実践を通して、信頼関係を築ける「認とも」が大いに求められている。
詳しくは、下記の厚生労働省のWebサイト参照
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ninchisho_taisaku/dai1/siryou1.pdf
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