2016/03/18
2016年4月、首都圏初の子どものためのホスピス「もみじの家」が、東京都世田谷区の国立成育医療研究センターにオープンする。ホスピスというと苦痛を取り除く、いわゆる「症状緩和を行う場」とイメージされがちだが、子どもホスピスの目的はそれだけではない。
難病や先天的な疾患を抱えていても、医療の進歩により救われる命が増えている。それは、病状が安定した後、在宅で医療的ケアを受けながら生活する子どもが増えているということを示している。同センターでは、在宅で医療的ケアを常時必要とする子どもは全国に1万~1万3000人いると推計している。文部科学省の調査でも、医療的ケアを受けながら特別支援学校に通学する子どもたちは、2006年度の約5900人に対し、2014年度は約7700人と増加している。
在宅での医療的ケアの内容
※それ以外の「特別なケア」が必要な場合は応相談
医療的ケアは、重い病気や障害を抱えて生きる子どもたちにとって、まさに命綱ともいえる。しかし重い病気や障害を理由に受け入れを断る保育所や学校も多く、自宅で家族がケアを行わざるを得ない。家族は子どもたちを安心して預ける場所がなければ、自由に休息をとることもままならない状況にある。子どもたちも、さまざまな刺激や交流が必要な成長期であるにもかかわらず、同年代の子どもたちとのふれあいの機会は限定されがちだ。
そこで、医療的ケアを必要とする子どもやそのケアを行っている家族を対象に、障害者総合支援法に基づき医療型短期滞在施設として開設されたのが子どもホスピス「もみじの家」である。いつでも必要な医療的ケアが受けられ、子どもも家族も自由に過ごしたり休息をとったりすることができる。学習や遊び、交流イベントなどを含め、自宅と同じように過ごせるだけでなく、普段自宅ではなかなかできないことも体験できるプログラムが用意されている。年間3回、20日以内(1回につき最大6泊7日)の利用が可能だ。初回利用に限っては2泊3日だが、これは年間利用日数には含まれない。学習・遊びを含む開設時に予定されている体制は、日中は看護師5~6名、および保育士または介護福祉士1~2名。夜間は看護師2名とされる。利用を希望する場合は、事前に成育医療研究センター医療連携・患者支援センターのソーシャルワーカー宛に連絡し、家族面接を行った上で予約することになっている。(連絡先:03-3416-0181 平日9:00~17:00)
利用条件(開設時点)
これまでにも、小児科医や民間のNPO団体による子どもホスピスプロジェクトが大阪や福岡で展開されてきた。しかし、その認知度はまだまだ低い。今回、公的機関が“子どものためのホスピス”の運営に乗り出したことをきっかけに、子どもホスピスへの正しい理解が広く社会に受け入れられていくことを期待したい。
詳しくは、下記の国立成育医療研究センター「もみじの家」Webサイト参照
http://www.home-from-home.jp/
■上記ニュースに関連したディアケアコンテンツをご覧いただけます。
×close
©DEARCARE Co., Ltd.