2016/03/22
看護師の特定行為研修が始まり、いよいよこの春には第1回目の特定行為研修を修了した看護師が臨床の現場で働き始めることになりそうだ。この特定行為の実施にあたり、全日本病院協会では、厚生労働省の事業の一環として38の特定行為実施のために必要な標準的な手順書例集を作成して公表している。
ここでいう手順とは、個々の特定行為の実施 “手順”が記載されたものではなく、「医師又は歯科医師が看護師に診療の補助を行わせるためにその指示として作成する文書(又は電磁的記録)」のことだ。臨床現場では、ある医療行為(手技)の実施に必要な判断や技術のレベルは個々の状況によって変わる。例えば「脱水症状に対する輸液による補正」において、心機能が異なる患者では、輸液の内容、輸液量、輸液速度の判断の難易度も異なる。診療補助としての特定行為が安全に行われるために必要な、下記6項目が本手順書には含まれている。例えば、「脱水症状に対する輸液による補正」の手順書の例は以下のようになる。
①当該手順書に係る特定行為の対象となる患者(患者の特定)
特定行為を行う上での「必要条件」(手順書の対象となる患者の一般的な状態)であり、患者の個人の“特定”のための、患者氏名や患者番号(ID)などではない。
②看護師に診療の補助を行わせる患者の病状の範囲(病状の範囲)
特定行為を行う上での「十分条件」で、安全を第一に考え設定している。範囲外のものは迅速に担当医に指示を仰ぐ必要があるが、緊急性があり「鑑別すべき病態が他になく、医師に相談しても行うべきことが変わらない」状況に限定される場合は、看護師のレベルに応じて判断してもよい。
③診療の補助の内容(診療の補助の内容)
特定行為の名称。実際に行う手技の手順は、各医療機関で作成する。
④特定行為を行うときに確認すべき事項(確認すべき事項)
特定行為開始の実施前、実施中、実施後に特定行為の効果の有無、合併症の有無などを確認する。
⑤医療の安全を確保するために医師または歯科医師との連絡が必要となった場合の連絡体制(連絡体制)
各医療機関で、緊急時に連絡の取れる電話番号などをあらかじめ確認し記載しておく。
⑥特定行為を行った後の医師または歯科医師に対する報告の方法(報告方法)
診療の補助内容の診療録への速やかな記載ができる方法を決めておく。
これらの項目について、例集を参考に各医療現場に即した手順書の作成を求めている。38の特定行為および手順書例集は、下記からダウンロードできる。
詳しくは、下記の全日本病院協会 (看護師特定行為研修検討プロジェクト委員会)Webサイト参照
http://www.ajha.or.jp/voice/pdf/other/160205_1.pdf
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