2016/04/22
がん・脳卒中・心疾患・糖尿病・肝炎などは治療技術の進歩により、治療しながら仕事を継続できるようになった。一方で、治療と職業生活の両立が課題となっており、悩みを抱える事業所が少なくない。そのため、厚生労働省は、職場で適切な就業上の措置や治療への配慮を行う際の参考となる「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を公表した。ガイドラインでは「治療と職業生活の両立支援を行うための環境整備」と「治療と職業生活の両立支援の進め方」、「がんに関する留意事項」についてまとめられている。
ガイドラインでは、「治療と職業生活の両立支援を行うための環境整備」として、「労働者や管理職に対する研修等による意識啓発」、「相談窓口の明確化」、「時間単位の休暇制度、時差出勤制度などの検討・導入」などを実施することが望ましいとしている。
「治療と職業生活の両立支援の進め方」として、治療に対する配慮の内容を決めるまでの流れの一例が示されている。まず、労働者が主治医に作成してもらった就業の可否や望ましい措置が記載された書面を、事業者へ提出する。次に、事業者は主治医等の情報を産業医等に提供し、職場の配慮に関する意見を聴取する。そして最後に、事業者は主治医や産業医等の意見を勘案し、労働者の意見も聴取した上で、治療に対する配慮の内容を決定・実施する。その際に、具体的な支援内容をまとめた「両立支援プラン」の作成が望ましいとしている。
さらに、「がんに関する留意事項」として、労働者が事業所へ情報提供する際の留意点や、事業所が配慮の内容を決定するにあたって考慮する必要のある点についてまとめられている。労働者が事業所へ情報提供する際の留意点としては、がんの治療中には予期せぬ副作用などが考えられるため、「手術後の経過や合併症などに個人差がある」、「抗がん剤治療は副作用によって周期的に体調が変化することがあり、特に倦怠感や免疫力低下が問題となる」、「放射線治療は基本的に毎日照射を受けることが多く、治療による倦怠感等に個人差が大きい」、ということを伝えるように説明している。事業所が配慮の内容を決定するにあたっては、治療中はメンタルヘルスの不調に陥る場合もあり、早まって退職を選択する場合があることにも留意するよう説明している。その他に、ガイドラインでは参考資料として、「勤務状況を主治医に提供する際の様式例」なども紹介されている。
図 がんによるストレスへの心の反応
詳しくは、下記の厚生労働省Webサイト参照
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000113365.html
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