2016/06/17
近年増加している外来・在宅での抗がん剤投与や経口抗がん剤などに対して、医療従事者に対する抗がん剤の曝露対策は十分でないという指摘がある。このような現状を受けて、日本がん看護学会などが合同で「がん薬物療法における曝露対策合同ガイドライン」を作成し、ウェブサイトで公表している。
ガイドラインでは、がん薬物療法の「Hazardous Drugs(HD、曝露による健康障害がある、または疑われる薬品)の背景知識・推奨・解説」と、「臨床疑問(臨床現場で直面する可能性がある疑問)の解説」を掲載している。エビデンスレベルを提示し、これに既存のガイドラインなどを加味して、推奨度判定を行っている。
「Hazardous Drugsの背景知識・推奨・解説」では、一例として「在宅におけるHD投与患者のケア」を掲載し、「患者に投与されたHDが排泄される期間について理解する」ことが重要であるとしている。その上で、患者のリネン類の取り扱いについて、特別な取り扱いの必要はないと説明している。しかし、HDのこぼれや、便・尿・吐物などの排泄物により衣類が汚染された場合は、他の洗濯物と分け、2度洗いするよう呼びかけている。また、トイレ使用後は蓋をして洗浄し、排泄物を洗浄する水量・水圧が不十分な場合は2回洗浄するとしている。
さらに、「臨床疑問の解説」では、「HDの外装(HDの外側の包装)に触れる際は個人防護具(PPE)の着用が推奨されるか」を掲載している。推奨レベルは「強い推奨」で、解説では、「HDは、外装にもHDが付着していることが多くの研究で示されているため、調製時だけではなく、外装を開ける前の状態でも、適切なPPEを着用することが推奨される」と示している。
図1 便・尿へのHD流出率
詳しくは、下記の日本がん看護学会Webサイト「がん薬物療法における曝露対策合同ガイドライン」参照
http://jscn.or.jp/kanko/book/gl_book01.pdf
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