2016/07/15
東日本大震災発生から1か月半で、避難所生活者の半数が60歳以上になったことが日本財団の調査で報告された。そのうち、62%が心身の不調を訴え、持病の悪化が懸念された。このため、避難所の食事内容や生活様式を高齢者仕様に変更し、健康状態の悪化を防ぐことが求められた。
東京大学高齢社会総合研究機構では、災害時に高齢者を見守るときに参考となる「高齢者の災害時に必要な医療ポイント」をリーフレットにして公表している。被災高齢者の脱水による体調不良は脳卒中や心筋梗塞などの引き金となることもあり、避難所スタッフや被災者で協力し、高齢者を見守るように呼びかけている。
リーフレットでは、災害時に高齢者を見守るポイントとして「声をかけ合うことで、災害関連死を防ごう」「スタッフやボランティアに期待する 避難所で高齢者の生活不活発病を予防する取り組み」など10項目に整理している。主に、脱水予防、災害関連死の予防、生活不活発病予防、孤独死・自殺予防、災害関連疾患の発生時期について説明している。
具体的には、「トイレに行く時は声を掛けて誘ってみましょう」「散歩や体操などの運動は、循環器管理と精神面管理を兼ねることにつながります。定期的に行い参加してもらいましょう」「阪神・淡路大震災ではストレスによる脳卒中や冠動脈疾患・突然死の発生時刻が、午前5時から11時に多いことが分かりました」などと書かれ、医療に詳しくない人でもすぐわかるようにまとめられている。
災害時に、被災者すべての健康管理を医療者のみで行うには限界がある。また、災害はいつ起こるか予測ができない。災害にあったとき、被災者同士で健康を気遣える関係性を築くきっかけを作るために、「高齢者の災害時に必要な医療ポイント」は一読しておきたい。
POINT5 スタッフやボランティアに期待する 避難所で高齢者の生活不活発病を予防する取り組み |
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●レクリエーションが共同生活のストレスを軽減 避難所内で高齢者を集め「お誕生日会」を開くなど、レクリエーションを積極的に行いましょう。 人との交流で気分が晴れ、ストレス軽減に役立ちます。 |
●高齢者同士でお互いの手伝いをする役割を 人材として活躍させることは、人に役立つ気持ちと相手から感謝され、気持ちに快活さを与えることへつながり、元気の源(みなもと)になります。 |
●散歩や体操タイムを設ける 散歩や体操などの運動は、循環器管理と精神面管理を兼ねることにつながります。定期的に行い参加してもらいましょう。 |
●被災前に行っていたリハビリを中断させない 続けていたリハビリを中断し1週間寝込んでしまった場合、10~15%の筋肉量が減少し虚弱化します。可能な限り身体を動かす様に促しましょう。 |
表 スタッフやボランティアに期待する取り組み
参考元:東京大学高齢社会総合研究機構「高齢者の災害時に必要な医療ポイント」
詳しくは、下記の東京大学高齢社会総合研究機構Webサイト参照
http://www.iog.u-tokyo.ac.jp/?page_id=2531
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