2016/10/21
独立行政法人国民生活センターは、報告書「少量の失禁尿を吸収するとうたった下着-過信は禁物、しみ出すことも-」を公表し、消費者へのアドバイスや販売事業者・行政に対する要望を示した。
尿失禁は出産を経験した中高年の女性や膀胱炎・脳梗塞・糖尿病・脊椎の疾患を経験した人に症状が出やすいと言われている。2006年に40歳以上の男女985名を対象に行われた調査では、男性で11.4%、女性で34.5%が尿失禁の症状を訴えていた。
軽失禁のケア用品として、パンツ型の紙おむつや、失禁パンツ、下着に付けて使用するパッド、ライナーなどを単独、もしくは組み合わせて使用する。このうち、紙おむつは、一般社団法人日本衛生材料工業連合会が表示ガイドラインを定めており、「使用目安の回数」と「1回の排尿量」を併記することとされている。一方、失禁パンツは、表示に関するガイドライン等は定められていない。このため、PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)には、失禁パンツに関する相談が、2011年度以降受付、2015年度末までの登録分で156件あり、「表示よりも少ない尿の量で漏れた」などといった吸収性に関する相談がみられた。
これを受けて、国民生活センターは2015年12月~2016年4月の間で、少量の失禁尿を吸収することとうたった下着(失禁パンツ)の調査を実施し、「吸水量に関する表示」「新品を用いたときの吸水量」を調べた。
吸水量に関する表示について、商品説明や販売をしているサイト(以下、「表示者のサイト」とする)、 商品のパッケージや添付されていた説明書等に具体的な吸収量の表示があった物は12銘柄中9銘柄。表示者のサイトに吸収量の表示のあった銘柄でも、商品のパッケージや添付の説明書等には表示がなかったものが3銘柄あった。
また、新品を用いたときの吸水量に関して、動きを伴わずに立っているときと座っているときを想定して実験を行った。失禁パンツを着用した人体腰部の模型に、性別ごとに排尿される位置に着色した人工尿を5mlずつしみ込ませ、5分間様子を見ることを繰り返し、失禁パンツの外側までしみ出してこないかを、各銘柄5枚ずつ調べた。この結果、立位での吸収量の表示がある9銘柄のうち、5枚全てが表示量でしみ出さなかった銘柄はなかった(図1)。座位での吸収量の表示がある3銘柄のうち、すべての銘柄で表示よりも少ない量でしみ出し、立位のときよりも少量でしみ出す傾向がみられた。
さらに、説明書などに記載されている表示者等へアンケートを行った結果、回答が得られた全社で、想定している吸収量は少量複数回や少数回の合計量という回答だった。
国民生活センターは事業者に対して、吸収量を表示する場合は実使用に即した1回量と回数を表示するなど、表示の改善を要望。消費者に対し、失禁パンツにはわずかな尿量でもしみ出してしまうものがあると注意を呼びかけた。また、失禁パンツを購入する場合は、サイズ等を確認し、まずは少数枚で購入して確認するよう求めている。
図1 立位での失禁パンツの実験結果(新品時)
詳しくは、下記の独立行政法人国民生活センターWebサイト参照
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20160519_1.html
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