2016/10/26
看護師の特定行為研修の動きが急速に加速している。すでに、2015年10月から始まった特定行為研修を修了した看護師による活動が全国で始まっているが、国は当初想定していた特定行為を修了した看護師数に向けて確実に研修機関を増やしつつある。
先に提出された2017年度の一般会計予算編成に向けての概算要求にも、その力の入れ具合が現れている。厚生労働省が要求した看護関係予算では、「看護職員の資質向上」の項目の中で、「特定行為研修制度の推進」として「指定研修機関の設置・運営の支援」を4億4300万円に拡充して計上している。さらに、「看護師の特定行為に係る指導者育成」にも2200万円を要求した。
また、厚生労働省では去る8月3日、第10回医道審議会保健師助産師看護師分科会の中で、看護師特定行為・研修部会を開催した。ここでは、指定研修機関の指定および指定研修機関の特定行為区分の変更申請などが審査された。これを受けて、新たに7機関が指定され計28機関となった。また、特定行為区分については、①血糖コントロールに係る薬剤投与関連、②循環動態に係る薬剤投与関連、③精神及び神経症状に係る薬剤投与関連の3区分が承認され、計14区分となった。
日本看護協会では、2016年11月~2017年3月にかけて行う特定行為研修において、看護の専門性をさらに発揮した実践に結びつけるために、すでに専門性において実績のある認定看護師を対象として、以下の表のような7つの受講モデルを設定して研修を開始する。
受講モデル | 受講決定者 |
---|---|
基本モデル | 12人 |
救急・集中ケアモデル | 15人 |
創傷管理モデル | 30人 |
感染症管理モデル | 6人 |
在宅ケアモデル | 2人 |
慢性疾患管理(症状緩和)モデル | 2人 |
慢性疾患(糖尿病ケア)モデル | 8人 |
合計 | 75人 |
これからもわかるように、「創傷管理モデル」は、皮膚・排泄ケア認定看護師の実践に根ざした臨床実践が、特定行為にふさわしい内容になっているため、多くの養成が期待されている分野である。日本褥瘡学会でも、こうした動きをバックアップして、特定行為研修を修了した看護師が、褥瘡医療の向上を目指して活動できるように、以下のような活動指針を示している。
看護師の特定行為研修制度に関連した活動方針
医療現場における看護師の業務拡大を目的とした「特定行為に係る看護師の研修制度」(以下、特定行為研修制度)が平成27 年10 月より施行された。一般社団法人日本褥瘡学会(以下、学会)は、この特定行為研修制度に関連した活動とその意義について以下のとおり明示する。
特定行為研修制度に関連した学会の活動
1.特定行為研修(創傷管理関連)を受けた看護師の活動の把握とその推進
1)学会入会の促進
2)学術集会や地方会でのup-to-date な情報の提供
3)実践活動の発表の場の提供
4)研究活動の支援
2.特定行為とならなかった「外用剤や創傷被覆材の選択」に関する学会認定師を対象
とした教育の推進
1.に関して
現在、「創傷管理関連」の区分研修を受けている看護師(皮膚・排泄ケア認定看護師など)の多くは学会に所属している。したがって、特定行為に関わる啓発・推進活動、実践される特定行為の安全の担保や創傷ケアに与える成果、などを学会は今後明確にしていく必要がある。また、本制度の普及とともに、学会に所属しない看護師が特定行為を実施していく機会が今後増えることも予測できる。学会としては、創傷に関連する特定行為に係る研修を受けた看護師の多くが学会に入会することを促進する。
2.に関して
適切な研修を受けた学会認定師が外用剤や創傷被覆材の選択を担当医師に提案できるような教育を強化することで、褥瘡医療への貢献を目指す。
一般社団法人 日本褥瘡学会
詳しくは、下記の各Webサイト参照
・日本看護協会Webサイト
http://www.nurse.or.jp/nursing/education/tokuteikenshu/index.html
・日本褥瘡学会Webサイト
http://www.jspu.org/pdf/kangoshi_tokutei.pdf
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