2016/11/7
去る8月20日、神戸国際会議場において開催された第4回血管内留置カテーテル管理研究会(当番世話人:井上善文氏/大阪大学国際医工情報センター栄養ディバイス未来医工学共同研究部門 特任教授)において、特定行為、中でもPICCに関するシンポジウムが行われた。
PICC(末梢挿入式中心静脈カテーテル)とは中心静脈カテーテル挿入の一法で、末梢から挿入して中心静脈から輸液療法を行う方法である。最大のメリットは患者の負担が少ないことと、安全で感染率が低いこととされている。日本では2010年に医師が行う医療行為として保険適応となったが、いまだ普及率は低い。
2015年10月の厚生労働省通知により、チーム医療の推進のための看護師の特定行為が明文化され、その38領域の中にPICCも含まれた。そのため、所定の研修を受けた診療看護師(NP)もPICCを行えるようになった。診療看護師とは、日本NP教育大学院協議会(Japanese Organization of Nurse Practitioner Faculties:JONPF)が認定している特定行為を行える看護師で、2016年4月現在、249名の診療看護師が各領域で活動を行っている。
この日のシンポジウムでは、診療看護師としてPICCを行っている柏本佳奈子氏(若草第一病院)、田村委子氏(国立病院機構別府医療センター)、村田美幸氏(国立病院機構高崎総合医療センター)が登壇し、臨床現場での活動の実際と成果を紹介した。いずれの施設もこれまで数十件のPICC挿入・管理を行っており、以下のような成果が出ているという。
①医師が手術などに専念できる
②幅広い科より依頼があり症例が増えた
③病棟看護師の不安が軽減した
④依頼から施行まで迅速に対応ができるようになった
院内・患者の評価も良好で、なかにはPICC症例の約8割を診療看護師が担当している施設もあった。
全国的には診療看護師がPICCを行っている医療施設は限られているが、医師の業務負担が軽減されるため、今後さらに普及することが期待される。
詳しくは、下記の各Webサイト参照
・血管内留置カテーテル管理研究会
http://janvic.org/index.html
・厚生労働省「特定行為に係る看護師の研修制度」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077077.html
・日本NP教育大学院協議会
http://www.jonpf.jp/gaiyou.html
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