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2016/12/20

高齢者の「サルコペニア肥満」で抑うつリスクが上昇

老年医学の分野だけでなく盛んに取り上げられているサルコペニアは、加齢に伴って筋肉量、筋力が低下することをいう。一方、肥満、とくに内臓肥満はインスリン抵抗性を基盤としたメタボリック症候群につながる病態である。この「サルコペニア」と「肥満」が合併したものが「サルコペニア肥満」で、代謝異常や機能障害がいっそう強く、心血管リスクが強いと考えられている。

65歳以上の高齢者で「サルコペニア肥満」の人は抑うつをきたすリスクが高まるというレポートが出されている。特に、65~74歳の高齢者では注意が必要ということだ。これは東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢氏による大規模コホート研究からわかった。同大学医学系研究科加齢医学講座の石井伸弥氏によると、自立した生活を送っている高齢者でも、サルコペニアと肥満が併存するとうつ病の発症につながる危険性が高いという。研究の詳細は9月4日の「PLOS ONE」オンライン版に掲載された。

研究グループでは、日本人高齢者を対象に、サルコペニアと肥満、あるいはこれらの併存と抑うつリスクとの関連を検討する横断観察研究を行った。対象は、2012年に千葉県柏市の在住者からランダムに抽出した、自立した生活を送っている65歳以上の高齢者1,731人。サルコペニアは、四肢骨格筋量、握力、歩行速度のデータをもとに判断し、肥満は体脂肪率を用いて判断した。抑うつ症状の評価には、高齢者の抑うつ尺度(GDS6点以上)を用いた。その結果、対象者全体のうち約1割に抑うつ症状が認められた。対象者のうち、サルコペニア単独の人が約14%、肥満単独の人が約16%、両者が併存した「サルコペニア肥満」は約4%と最も少なかった。この中で抑うつ症状の有病率をみると、サルコペニアでも肥満でもない群(8.5%)とサルコペニア単独群(11.0%)、肥満単独群(11.6%)に比べてサルコペニア肥満群では26.6%と最も高かった。年齢層別では、サルコペニア肥満と抑うつリスク上昇との関連は、65~74歳の高齢者群でとくに抑うつリスクが高いことがわかった。

図 Prevalence of depressive symptoms with 95% confidence intervals by sarcopenia and obesity status in the Kashiwa study.

原著論文は以下のものを参照。

Shinya Ishii, Chang Chang, Tomoki Tanaka, Aki Kuroda, Tetsuo Tsuji, Masahiro Akishita, Katsuya Iijima: The Association between Sarcopenic Obesity and Depressive Symptoms in Older Japanese Adults. PloS one. 2016;11(9);e0162898. doi:10.1371/journal.pone.0162898.

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