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2017/01/13
話題の“オプジーボ”の適正使用―厚労省が肺がん治療で指針案
高額な抗がん剤として話題になっている「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)について、厚生労働省は12月14日適正使用の指針案を示し、中医協(中央社会保険医療協議会)に提案した。
この指針案では、「有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間、当該医薬品の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに、副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件を満たす医療機関で使用することが重要である。したがって、本ガイドラインでは、開発段階やこれまでに得られている医学薬学的・科学的見地に基づき、以下の医薬品の最適な使用を推進する観点から必要な要件、考え方及び留意事項を示す。」としている。
本ガイドラインは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構、公益社団法人日本臨床腫瘍学会、一般社団法人日本臨床内科医会、特定非営利法人日本肺癌学会、一般社団法人日本呼吸器学会の協力によって作成されたもの。
- 対象となる医薬品:オプジーボ点滴静注20mg、オプジーボ点滴静注100mg(一般名:ニボルマブ(遺伝子組換え))
- 対象となる効能又は効果:切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
投与時の留意事項を以下の通り。
投与に際して留意すべき事項
- ①添付文書等に加え、製造販売業者が提供する資料等に基づき本剤の特性及び適正使用のために必要な情報を十分に理解してから使用すること。
- ②治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
- ③非扁平上皮癌においては、PD-L1発現率も確認した上で本剤の投与可否を判断することが望ましいが、PD-L1発現率が確認できない場合には、本剤の使用の適否を適切に判断した上で投与すること。
- ④主な副作用のマネジメントについて
- 間質性肺疾患があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、臨床症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部X線検査の実施等、観察を十分に行うこと。また、必要に応じて胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。
- 本剤の投与は重度のinfusion reactionに備えて緊急時に十分な対応のできる準備を行った上で開始すること。また、2回目以降の本剤投与時にinfusion reactionがあらわれることもあるので、本剤投与中及び本剤投与終了後はバイタルサインを測定する等、患者の状態を十分に観察すること。なお、infusion reactionを発現した場合には、全ての徴候及び症状が完全に回復するまで患者を十分観察 すること。
- 甲状腺機能障害があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に甲状腺機能検査(TSH、遊離T3、遊離T4等の測定)を実施すること。
- 本剤の投与により、過度の免疫反応に起因すると考えられる様々な疾患や病態があらわれることがある。異常が認められた場合には、発現した事象に応じた専門的な知識と経験を持つ医師と連携して適切な鑑別診断を行い、過度の免疫反応による副作用が疑われる場合には、本剤の休薬又は中止、及び副腎皮質ホルモン剤の投与等を考慮すること。なお、副腎皮質ホルモンの投与により副作用の改善が認められない場合には、副腎皮質ホルモン以外の免疫抑制剤の追加も考慮する。
- 投与終了後、数週間から数カ月経過してから副作用が発現することがあるため、本剤の投与終了後にも副作用の発現に十分に注意する。
- 1型糖尿病(劇症1型糖尿病を含む)があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシスに至ることがあるので、口渇、悪心、嘔吐等の症状の発現や血糖値の上昇に十分注意すること。1型糖尿病が疑われた場合には投与を中止し、インスリン製剤の投与等の適切な処置を行うこと。
また指針案では、承認を受けた「非小細胞肺がん」の約6割を占める「非扁平上皮がん」というタイプの患者には、使用前にがん組織にある特定の物質を調べ、少ない場合は、ほぼ同等の効果が見込める従来の抗がん剤を優先して使うことを推奨した。また、重い副作用に適切に対応できる医師がいるなど体制の整った施設に限って使用することを求めている。
引用元:「最適使用推進ガイドライン(案) ニボルマブ(遺伝子組換え)~非小細胞肺癌~」(中医協総-328.12.14)
詳しくは、下記の厚生労働省Webサイト参照
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000145820.pdf
- ※この記事内容は公開当時の情報です。ご留意ください。
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