ニュース

2017/01/25

人工呼吸管理中の気管吸引は短時間に適正な吸引圧で

人工呼吸器装着中の患者にとって日常的に必要な「気管吸引」だが、過剰な圧がかかると危険なことはよく知られている。特に人工呼吸管理が必要な患者は体力的に余力がなく、合併症のリスクも抱えているため、ルーチン業務で「2時間ごと」などという画一的なやり方ではなく、今この状態で本当に吸引が必要かどうかアセスメントし、見極めた上で実施する必要がある。

特に以下のような状態のときは気管吸引の禁忌になると警鐘を鳴らすのは、「気管吸引ガイドライン2013」(日本呼吸療法医学会)だ。

  • 低酸素血症
  • 出血傾向、気管内出血
  • 低心機能・心不全
  • 頭蓋内圧亢進状態
  • 気道の過敏性が亢進している状態、吸引刺激で気管支痙攣が起こりやすい状態
  • 吸引刺激により容易に不整脈が出やすい状態
  • 吸引刺激により病態悪化の可能性がある場合
  • 気管からの分泌物が原因となり重篤な感染症を媒介するおそれがある場合

気管吸引の目的は気道の開放性を維持・改善することである。吸引によって分泌物が除去できるのは主気管支レベルなので「主気管支に分泌物が貯留しているかどうか」が吸引判断の基準になる。主気管支は第2肋骨付近なので、ここに断続性副雑音が聴かれ、胸部触診で呼吸に伴う振動が確認されたら主気管支に分泌物が貯留していると判断でき、気管吸引の適応になる。

同ガイドラインでは、吸引時間について、挿入開始から終了まで「15秒以内」を推奨している。吸引中は患者が呼吸することができないため、可能な限り短時間で行う必要があるためだ。また、吸引圧についても「20kPa(約150mmHg)」を超えないように設定することを推奨している。いくら吸引時間が短くても、吸引圧が高すぎると必要以上に気道内のガスを吸ってしまうためだ。

気管吸引による呼吸器合併症には「気管支粘膜の損傷」「低酸素血症」「無気肺」などが挙げられるが、近年になって吸引によって「急性肺傷害(acute lung injury:ALI)」が引き起こされることが明らかになってきている。そのため、気管吸引は短時間で適正な吸引圧で行うことが重要とされている。カテーテルの長さについても、同ガイドラインには、「カテーテル先端が気管分岐部に当たらない位置まで挿入する」と明記されている。胸部X線写真で気管チューブの先端位置を確認して慎重に行うことが重要だ。

引用元:日本呼吸療法医学会 気管吸引ガイドライン改訂ワーキンググループ:気管吸引ガイドライン2013.

詳しくは、下記のMindsガイドラインセンターWebサイト参照

アルメディアWEB会員(無料)って?

会員登録いただくと、次の特典があります。

●特典1:動画や実践のコツなどの「限定コンテンツ」が見られる!

●特典2:勉強会や指導・説明などで使用できる資料がダウンロードできる!

●特典3:ケアに関する情報をメールで受け取れる!