2017/05/11
高齢者への虐待に関する報道が多くなっている。厚生労働省が2015年度の実態を調べたところ、特別養護老人ホームなどの介護施設で職員による高齢者への虐待が確認されたのは408件。2014年度の300件から108件(36%)も増えたことがわかった。9年連続の増加で、初めて死亡例も出たという。また、家族・親族による高齢者虐待は1万5976件で、前年より237件増えている。虐待者は息子(40.3%)が最も多く、夫(21%)、娘(16.5%)と続く。この調査は、高齢者虐待防止法に基づいて、相談や通報を受けた自治体が虐待と判断したものをまとめたものだ。
介護施設における虐待は、以下のように分類される。
これらのうち圧倒的に多いのは、「身体的虐待」と「心理的虐待」とされている。最近の傾向として「介護等放棄(ネグレクト)」が多くなっている。
今回の調査におけるすべての虐待の内訳は、「身体的虐待」(61.4%)、「心理的虐待」(27.6%)、「介護等放棄(ネグレクト)」(12.9%)の順に多かった。死亡例は、認知症グループホームにおいて転落した入所者に救命措置を行わなかった「介護等放棄(ネグレクト)」による1例。虐待の要因は、「教育・知識・介護技術等に関する問題」(65.6%)、「職員のストレスや感情コントロールの問題」(26.9%)が多かったという。認知症患者が増えている現状のなかで、円滑な意思疎通が図れないケースが多く、介護者のストレスが著しく高まり、感情コントロールができない介護現場の実情が伝わってくる調査結果となった。
詳しくは、下記の厚生労働省Webサイト参照
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000155598.html
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