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2017/05/18

「診療看護師」「フィジシャン・アシスタント」などの新しい提案に注目
「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」報告書

厚生労働省が公表した「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」報告書が、各界からの注目を集めている。同検討会は、医療が今後目指すべき方向性を、医師や看護師等の働き方・確保のあり方について検討するために2016年10月に発足したもの。報告書では、以下のような新たなパラダイムを提示して実現すべきビジョンを示している。
「医療・介護従事者の過重労働が恒常化している状況を直視し、実効的な変革を推進するには、医療・介護分野が『高生産性・高付加価値』構造へと転換することにより、その専門性を高め続けるプロフェッショナリズムの下で、住民・患者の価値を最大化できる『働く人が疲弊しない、財政的にも持続可能なシステム』を確立することが必要である。」

ビジョンの方向性として打ち出しているのは以下の3点である。

  1. 1能力と意欲を最大限発揮できるキャリアと働き方をフル・サポートする
  2. 2地域の主導により、医療・介護人材を育み、住民の生活を支える
  3. 3高い生産性と付加価値を生み出す

1.能力と意欲を最大限発揮できるキャリアと働き方をフル・サポートする

「多様な生き方・働き方の選択」と、「研さんし続けるプロフェッショナリズムの追及」を両立できるようにすることを目指す。具体的には、医療従事者の業務負担の軽減、組織の管理者の意識改革やマネジメント能力の向上が重要だとしている。さらに、性別を問わず、育児・介護などを担う医療従事者に対して短時間労働、時差勤務制度の導入や兼業、在宅労働、施設内保育所の整備などを支援する必要があるとした。夜勤に当たる医療従事者の負担軽減策としては、勤務後、次の勤務までに一定時間以上の休息時間を設ける「勤務間インターバル」などの配慮を図ることも求めている。

看護師については、ニーズの多様化に合わせて多様で幅広く活躍できるよう、各看護師のキャリア選択に応じた複数の養成システムを維持・発展する必要があるとして、卒前教育のカリキュラム拡充を提案。准看護師についても教育カリキュラムを見直すとともに、通信制の看護師養成課程の入学要件である「実務経験10年(2018年度からは7年)」を「5年程度」に短縮することを検討すべきとしている。

2.地域の主導により、医療・介護人材を育み、住民の生活を支える

地域の実情に応じた医療・介護人材を確保する一方、地域が目指すべき姿やその基盤を支える医療・介護について、医療・介護従事者とともに住民も主体的に参画し、協働することを目指すとしている。問題視されている医師の偏在状態を是正する対策として、へき地などに勤務する医師の教育環境の整備を求めている。地域枠の医師や自主的にへき地などで一定期間診療に従事する医師に対して、地域医療支援センターが派遣医師と受入医療機関のマッチングを支援したり、週3日を休暇・自己研さんなどに充てられる「週4日勤務制」の導入、休日を確実に取得するための休日代替医師の派遣、複数医師によるグループ診療、遠隔診療の支援などを行うことを提案している。

3.高い生産性と付加価値を生み出す

医療従事者の業務の生産性の向上を図りつつ、業務分担と協働を最適化し、専門職が専門性を発揮してそれぞれの業務に集中できる環境整備を目指すとした。具体的方策としては、医師間で行うグループ診療や、医師と他職種の間で行うタスク・シフティング(業務の移管)/タスク・シェアリング(業務の共同化)を提案している。注目すべきは、タスク・シフティングやタスク・シェアリングの例として、看護師の特定行為研修制度の見直しをあげている点。具体的には養成数を増やすための研修方法・体制の見直しや、対象となる医行為の拡大、このような業務を行える人材(例えば「診療看護師」(仮称))の養成を提案している。看護師の特定行為研修は徐々に広がりを見せつつあるが、一部の病院では看護師が胸腔穿刺や中心静脈カテーテル留置なども行っている実態を踏まえ「こうした事例を積み重ねて定着させ、医師や看護師の意識そのものを変えていくべき」とした。

もう一つの注目すべき提言は、「フィジシャン・アシスタント」資格創設の検討だ。米国の「フィジシャン・アシスタント」は、医師の監督の下に、高度医療の場面で外科手術の助手、投薬量調整等の術後管理などを行っている。これによって、医師が高度な専門性を発揮して本来業務に注力できることを目指している。ただ、診療看護師とフィジシャン・アシスタントの差別化、業務や自律度の違いの明確化など、検討すべき課題は多いだろう。

検討会では、「今後5~10年程度を基本軸として、すぐに着手できるものは直ちに具体化を進め、さらなる議論が必要なものは順次実現に移すこととすべき」としている。実現に向けては、厚生労働省内に「ビジョン実行推進本部」(仮称)を設置し、5~10年程度の政策工程表を作成した上で進められる見通しだ。

この報告書に対して、四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)は、「医療従事者の働き方に対応したパラダイムシフトの必要性にまで言及した報告書」と高く評価する一方、「医師は絶対数が足りないというのが実情である。少なくとも、当分の間の医師養成は強化されるべきである」と強く主張。新たな提案に対しては「しっかりした議論の場の設定が求められる」としている。

また、公益社団法人日本看護協会は、「看護師は、多様かつ複雑な患者の医療・生活ニーズに対応し、多職種と連携して患者のケアを中心的に担うことなどから、今後の医療で極めて大きな役割を担いうる」という位置づけを評価し、診療看護師(仮称)やフィジシャン・アシスタントの創設に関しては、「新たな医療における看護師への期待として前向きに受け止める」としている。

詳しくは、下記の各Webサイト参照

・厚生労働省「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」報告書

・公益社団法人日本看護協会広報部2017年4月7日付プレスリリース「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」報告書について

・四病院団体協議会「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書」に対しての意見

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