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2017/07/05

第26回日本創傷・オストミー・失禁管理学会学術集会開催
排尿自立指導料の普及、WOC領域のさらなる拡大を目指す

去る2017年6月2日、3日の両日、千葉市幕張にて第26回日本創傷・オストミー・失禁管理学会学術集会が2200名の参加者を集めて盛況に開催された。会長は田中秀子・淑徳大学教授、副会長は秋山和宏・東葛クリニック病院副院長。今回の学会のメインテーマは「WOCケアのイノベーション」。皮膚・排泄ケア認定看護師による外来の充実や高齢者への予防的ケアの対策、ITを活用したケアなど、現状を紐解き、実現に向けた提案ができる学会にしたいという思いからこのテーマがつけられたという。

理事会企画1「排尿自立指導料 これからの進め方」(座長/谷口珠実・山梨大学准教授)では、排尿自立指導料算定に向けて、現場では実際にどのような取り組みが行われているかについて討議された。2017年3月までに排尿自立指導料を算定している施設は全国で290施設であり、全体の0.04%。この数字が多いかどうかは議論のあるところだが、「下部尿路症状への排尿ケア講習会」を修了者した人が500名を超え、依然として同講習会への参加希望者が多い状況を考慮すると、今後のますますの普及が期待される。

東京都リハビリテーション病院では、一般病棟だけでなく、報酬診療のとれない回復期リハビリテーション病棟も含め、全病棟で取り組みを行ったという。学会作成の手引きをベースにしつつ、運営方法は独自のもので展開し、残尿測定方法はオリジナルのものを使った。事前の研修も含め、診療報酬算定のため現場の工夫が見てとれた。
北里大学病院では、カテーテルを留置したまま在宅生活を送る患者が少なくなく、泌尿器科外来でカテーテルを抜去しても、排尿困難のため再留置するケースが多くあったため「尿道カテーテル抜去後のフローチャート」を、泌尿器科医師、皮膚・排泄ケア認定看護師が協働して作成したという。

排泄ケアを行うにあたり、褥瘡やIAD(Incontinence Associated Dermatitis:失禁関連皮膚炎)に注意する必要があるが、排尿自立指導を行い、患者が自力で排泄できる状況をつくれば、患者は歩くことができ、そうなれば褥瘡発生リスクが大きく減少するという真田先生の話が印象的だった。

今回の学会で、理事長の真田弘美東京大学教授が6年間の任期満了を迎えられた。真田教授は、理事長特別講演「WOC領域の過去・現在・未来」において、6年間の活動を振り返るとともに、WOC領域のさらなる拡大を目指して会員へ熱いエールを送った。

同学会が一般社団法人に移行して4年。学術教育委員会では、ストーマ周囲皮膚障害の重症度を評価するツール「ABCD-Stoma®」(2012年)「ABCD-Stoma®ケア」(2014年)を完成させた。診療報酬上では、平成24年度「在宅患者訪問看護・指導料」「持続的難治性下痢便ドレナージ」「人工肛門・人工膀胱造設術前処置加算」、平成26年度「在宅患者訪問褥瘡管理指導料」に加えて、平成28年度には「排尿自立指導料」が認められた。
さらに、「スキン-テア(Skin Tear:皮膚裂傷)」のベストプラクティスを作成し、次には、IADのベストプラクティス作成に向けた取り組みを行っている。そして、今年から開始する「臨床スキンケア看護師」の教育・認定制度のために、「スキンケアガイドブック」の出版を行った。
こうしたさまざまなアクティビティを、真田理事長のリーダーシップのもと、学会が一丸となって行ってきた実績は高く評価されようだ。真田教授は次期からの理事長である田中秀子教授に学会の発展と社会への貢献を託された。

詳しくは、下記の各Webサイト参照

・日本創傷・オストミー・失禁管理学会Webサイト

・第26回日本創傷・オストミー・失禁管理学会学術集会Webサイト

  • ※この記事内容は公開当時の情報です。ご留意ください。

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