2017/07/26
我が国では毎年100万人が新たにがん患者となり、そのうち3分の1は就労世代と言われている。仕事を続けながら療養するがん患者を支えるために、厚生労働科学研究プロジェクト「がんと就労」研究チームでは、これまでもがん患者の仕事支援に関するさまざまな取り組みを行ってきたが、この度「がん治療スタッフ向け 治療と職業生活の両立支援ガイドブック」を発表した。これは、がん患者が無理なく仕事を続けるために医療者ができる支援策を解説した手引書で、医療従事者には必須の内容だ。
主治医は、がん患者を雇用する会社から意見書を求められるケースが少なくない。意見書は、患者を仕事に復帰させるにあたって会社が必要な配慮を検討するのに大切な書類となる。しかし、職場の実情を知らない医師には「書き方がわからない」「患者の不利益になるのでは」などの戸惑いがあるという。そこで、この手引書では、意見書に書くべき項目として、「治療の概略」、「仕事に影響が出る可能性のある症状」、「配慮が必要な期間」などを挙げている。主治医は患者の希望や仕事の内容を聞き、配慮してほしいことを一緒に考えることが大切であると書かれている。意見書の書き方にも工夫が必要で、「残業禁止」だけでは柔軟な対応がしにくいため、「体力の低下が予想されるため、半年程度はできる限り残業を避けることが望ましい」などと、理由や期間を入れた表現を例示している。
この手引書はA4判39ページで、16のQ&Aと7つのコラムで構成されている。
厚生労働科学研究プロジェクト「がんと就労」研究チームの代表は、国立がん研究センターがん対策情報センター がんサバイバーシップ支援研究部 高橋都先生だ。
他に以下のような手引書も出されており、下記ホームページからダウンロードできる。医療従事者だけでなく、がん患者・家族、一般企業の方もぜひ読んで参考にしたい。
詳しくは、がんと就労 厚生労働省がん対策推進総合研究事業Webサイト参照
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