2017/08/02
認知症の高齢者は2025年に約700万人になるとされ、認知症対策は国をあげて取り組む国家的な課題になっている。新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)では、認知症の人が住み慣れた地域の良い環境で自分らしく暮らし続けるために必要としていることに、的確に応えていくための総合的施策を7つの柱として推進している。
そのうちの1つ「4. 認知症の人の介護者への支援」では、認知症の人の介護者への支援を行うことが認知症の人の生活の質の改善にもつなががるという観点に立って、介護者の精神的身体的負担を軽減する観点からの支援や介護者の生活と介護の両立を支援する取組として、「認知症カフェ」を挙げている。認知症カフェとは、認知症の人やその家族が、地域の人や専門家と相互に情報を共有しお互いを理解し合う場で、地域包括支援センターや介護事業者が運営するところが多い。
厚生労働省によると2015年度時点で全国のカフェは2253か所。2016年に「認知症介護研究・研修仙台センター」(仙台市)が把握しているカフェに調査票を送り、1477か所から回答を得たところ、各地の「認知症カフェ」の約8割で、本人の利用が進んでいないことがわかった。原因は、本人の関心と実際の活動内容がかみ合っていないことだ。
認知症カフェの主な活動は、「お茶を飲みながら話す」(88%)、「介護相談」(70%)、「歌や工作」(63%)などである。テーマを決めて意見交換する「ミーティング」は本人の参加が多いにもかかわらず、実施はわずか9%であった。運営上の課題としては、「認知症の人が集まらない」(77%)で最も多く、「将来的な継続に不安がある」(60%)、「運営方法に不安がある」「地域の理解が得られていない」などの回答も多かったという。有効な内容の構築と運営上の問題解決が望まれている。
一方で、認知症が原因とみられる不明者は毎年増え続けている。警察庁によると、2016年1年間に、認知症、あるいは認知症疑いが原因で行方不明になって警察に届けられた数は1万5432人で前年比26.4%増であった。不明者は、2012年の9607人から毎年増加し、4年連続で1万人を超えた。このうち、昨年中に所在が確認できなかったのは191人になるという。
同庁によると、2015年以前の行方不明者も合わせ、昨年中に所在確認ができたのは1万5314人。所在確認の期間では、届け出当日に見つかったのが1万1095人で、1週間以内には1万5069人になるが、2年以上経ってから確認できた人は44人もいた。確認の状況では、警察活動による発見が9756人、自分で帰宅するなどしたのが4950人、発見時に死亡確認が471人、届け出の取り下げが137人だった。同庁では、認知症による不明者の発見に役立てるために、不明者のDNA型や家族から聞き取った体形や着衣などをデータベース化しているという。
同プランでは「認知症サポーター養成講座」の開催等も提案しており、全国の警察署員らが認知症の知識や患者との接し方を学ぶ同講座を受講するなど、積極的に対策に取り組んでいる。
詳しくは、厚生労働省Webサイト参照
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