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2017/08/09

患者でなければわからないさまざまなことを伝えるメッセージ
―『がんになった外科医 元ちゃんが伝えたかったこと』発刊―

多くのがん患者の治療を行ってきた消化器外科医・西村元一先生(元ちゃん、金沢赤十字病院副院長/外科部長)が胃がんになってから2年半の患者体験を綴った書籍『がんになった外科医 元ちゃんが伝えたかったこと』が刊行された。2017年5月31日に惜しまれて逝去された西村先生のさまざまな“思い”が詰まった一冊となっている。看護専門雑誌『エキスパートナース』2015年9月号から2017年7月号までに連載された23回のエッセイに加えて、先生と関わりのあった多くの医療従事者・エッセイストなどからの「西村先生への言葉」を収載し、最後の章では、西村先生のライフワークとなった、がん患者が気軽に訪れて相談できる場“元ちゃんハウス”誕生への軌跡とこれからの活動について紹介している。

元ちゃんが、がん患者になって感じられたことが、本音で語られている点が非常に興味深い。抗がん剤治療で副作用が出ることは十分に認識していても、実際の「味覚障害」というのが、“甘さ”に対する異常なほど鋭敏な感覚で、人工的な甘味料の甘さは一切受けつけなくなったこと。特に“口腔内崩壊錠”の甘さは耐えられず、「がん治療を受けている人の感覚は健常人とはまったく違う」と訴えている。

また、医療従事者の何気ない「言葉」の力にも言及し、「ちょっとした一言をかけてもらったときに、元気なときとは異なる感情が湧くことがある」と言う。これまで医師として患者によくかけていた言葉「無理をしないで」「ゆっくり休んで」「あとはみんなでがんばるから安心して」などの言い方は、患者になってみると「自分の役割がなくなるのではないか」「自分の居場所がなくなるのではないか」「自分は、もういらないのでは?」といったネガティブな感情につながってしまい、より不安感を増長してしまうと言う。「普通であれば何気ない一言でも、患者にとっては胸にぐさりと突き刺さる言葉となる可能性」があると・・・。

看護師、医師、その他の医療従事者はもとより、「がんとむきあう」すべての人に読んでほしい一冊である。消化器外科医としてストーマリハビリテーションの重要性に早くから気づき、ストーマケアは医師ではなく看護師の力なくしては成り立たないと常に言ってこられ、「医療の中心は、看護師である」と言い切っておられた西村先生は、看護師は対等のパートナーであるということをさまざまな活動を通して訴えてこられた。その集大成が金沢版マギーズである“元ちゃんハウス”だった。2016年12月にオープンした、この町中のがん患者支援施設を継続してより発展させていくことこそ、元ちゃんが遺された者たちに託したものであることが実感される。

『がんになった外科医 元ちゃんが伝えたかったこと』

四六判、200ページ、オールカラー

本体1,300円(+消費税)

発行:照林社

詳しくは、下記の株式会社照林社Webサイト参照

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