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2017/08/23

看護師の特定行為研修の修了者は1年半でわずかに580数名

看護師の特定行為研修は、2015年10月にスタートした。制度開始から約1年半が経ったが、これまでの研修修了者は583名。厚生労働省が当初想定していた養成数である10万人とはほど遠いが、その原因は何だろうか。制度の認知度が低いことはあるが、何よりも修了者を出しても、その医療機関にメリットがあまりないことが要因のようにも思われる。制度そのものは、医行為の見直しから、医療専門職どうしの権限委譲、看護師の自律性確保、保助看法など、さまざまな隘路を克服して紆余曲折の議論を経て誕生したものであることもあって、注目を集めていただけに、今後の成り行きに強い関心が集まっている。

これは、2017年6月26日に開催された「第13回医道審議会 保健師助産師看護師分科会看護師特定行為・研修部会」で報告された「特定行為に係る看護師の研修制度の推進について」の現状によるものである。報告によると、2015年10月の制度開始から2016年度3月末までの研修修了者は583人。内訳は、2015年度259人、2016年度324人。583人の修了者の就業場所としては、病院523人、診療所は5人、訪問看護ステーション15人、介護施設8人、その他24人、不明8人となっている。

それでは、研修機関の数はどのくらいになったのだろうか。国では当初300機関を目標にして、就業しながらなるべく身近な環境で研修を受けられる体制を目指すとしていたが、「指定研修機関」は2017年3月29日現在、25都道府県に40機関となっている(図)。

図 特定行為研修を行う指定研修機関の状況(青の着色箇所は、40機関がある都道府県を示す)

引用:第13回医道審議会 保健師助産師看護師分科会看護師特定行為・研修部会報告書

特定行為研修を修了した看護師を雇用する医療機関が、この研修に積極的になれない理由の1つが、診療報酬上の評価を含めたインセンティブだろう。将来的に修了者の数が揃い、その臨床レベルが上がり、早期発見によって患者の病状悪化を食い止められるようなことになれば、在院日数の低下につながるかも知れない。何より、一般国民がこの制度を認知して、修了者を揃えることで病院の評判が上がれば患者数が増えるなどの効果が出ているだろうが、そこまでの見通しはなかなかつきにくいのが現状だろう。同時に、特定行為研修を修了した看護師の待遇面の問題もある。診療報酬上の評価などがあれば、雇用する病院としても給与面の優遇をするなど、さまざまなインセンティブが働く可能性があるだろう。

厚生労働省では、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」報告書で、特定行為研修については、養成数を増やすために制度の現場での認知度向上をはかること、受講しやすいような研修方法・体制の見直しを進めること、研修制度の対象となる医行為を拡大することなどを求めて、この制度の一層の普及を図ろうとしている。

同部会では、特定行為研修制度を普及させるための課題として以下の2点を提示している。

1)指定研修機関及び受講者の確保

2)認知度の向上

その解決策としては、

①医療関係団体等による特定行為研修の取組の推進

②都道府県における計画的な取組の推進

③特定行為制度の認知度の向上

現在実施している特定行為に関する実態調査の結果を踏まえて、秋以降に具体策の検討を始め、2019年を目途に取りまとめる予定となっている。

日本看護協会でも、平成29年度の重点事業の柱の1つに、「4:.看護職の役割拡大の推進と人材育成」を掲げ、「認定看護師制度の再構築」と「ナースプラクティショナー(仮称)制度の構築の推進」を挙げている。認定看護師制度と特定行為研修の関係については、以下のように、その融合を図る方針を示しており、注目される。
「特定行為に係る看護師の研修制度」については、本会は本制度を活用し、連続した看護の関わりの中で特定行為を実施することにより、安全で質の高い医療に貢献できるとし、推進してきた。また、本会の考え方として「熟練した看護技術と知識を用い水準の高い看護実践により、看護現場における看護ケアの広がりと質の向上を図る」を目的に認定された認定看護師が本制度を活用することにより、病態判断力が強化され、専門性をさらに発揮した実践が期待でき、医療・看護の質の向上に役割を果たせると示してきた。平成27年度から認定看護師を対象とした特定行為研修を実施し、約100名の修了生を輩出してきた。これからの医療ニーズに応えるべく地域包括ケアの推進に寄与する役割に対応できる認定看護師の養成を目指して、新たな認定看護師制度への再構築に向けた取組みが必要である。

詳しくは、下記の各Webサイト参照

厚生労働省Webサイト

・第13回医道審議会 保健師助産師看護師分科会看護師特定行為・研修部会

・「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」報告書

日本看護協会Webサイト

・平成29年度 重点政策・重点事業 説明資料

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