2017/08/30
輸液中の患者の四肢から採血を行うと検査結果に影響が出ることから、公益財団法人日本医療機能評価機構では注意喚起を行っている。報告されたのは、末梢静脈ラインからの輸液中の患者の四肢から採血を行った際に、検査値に影響があった事例だ。
1つは、乳がん術後の患者の採血を行う際、患者のベッドの頭元に「右上肢での採血・血圧測定は禁止」と表示があるのを見て、末梢静脈ラインから輸液中の左上肢から採血を行った。その1時間後に、別の看護師が検査部から血糖値が656mg/dLに上昇している旨の報告を受けたという。そこで採血部位を調べたところ、輸液中のラインから行っていたことがわかったというものである。もう一つの事例は、PICCカテーテル留置中の患者で、PICCカテーテルを留置している左上肢を避け、末梢静脈ラインから輸液中の右上肢から採血を行ったというものである。医師が、採血後に貼るパッド付き絆創膏が右上肢に貼付されているのを見て、輸液中の右上肢から採血したことに気づいたという。
この2つのケースともに、輸液中の四肢からの採血では検査値に影響が出ることを知らなかったという。さらに、検査結果が異常値の場合には、患者の状態をアセスメントして治療の必要性を判断しなければならない。間違った方法で出た検査結果をもとに誤った治療が施されれば、大きな医療事故につながる恐れがあるためだ。
また、同機構では、2013年から2015年に提供した医療安全情報のうち、2016年にも再発・類似事例が起こっていることを報告し、注意を促している(表)。
表 2016年の再発・類似事例(件数)
詳しくは、下記の各Webサイト参照
・公益財団法人 日本医療機能評価機構医療 医療安全情報No.126 2017年5月
http://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_126.pdf
・公益財団法人 日本医療機能評価機構医療 医療安全情報No.127 2017年6月
http://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_127.pdf
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