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2017/10/18

「看護師による死亡確認」が可能に。遠隔死亡診断のガイドライン出される

在宅での“看取り”を看護師ができる時代へ―在宅医療への移行が大きく進むなかで、従来医師しかできなかった「死亡確認」を看護師ができるようにする動きが加速している。これは、医師が死後24時間経過後も死後診察なしで看護師による確認のみで死亡診断書を交付できるように規制緩和すべき、という政府の規制改革会議の答申を受けて、厚生労働省が実施した厚生労働科学特別研究事業「ICTを利用した死亡診断に関するガイドライン策定に向けた研究」がベースになっている。規制改革会議では、在宅で穏やかな看取りができないという状況が出ていることを踏まえて、「医師が対面で死後診察をしなくても、死亡診断書を交付できるように規制を見直す」として、2016年度答申で死亡診断書に関する規制緩和を求めていた。それを受けて、2017年9月12日、厚生労働省から医政局長通知が出され、「情報通信機器(ICT)を利用した死亡診断等ガイドライン」が公表された。遠隔で死亡診断を行う際の手順や要件などを紹介しよう。

想定される対象者は、延命措置を希望していない終末期の患者で、医師が対面での死後診察を行うのに12時間以上かかるようなケースだ。具体的には、遠隔で死亡診断を行える要件として、死亡前14日以内に医師の直接対面での診療を受けており、医師が「早晩死亡されることが予想される」と判断したケース。積極的な治療や延命措置を望む場合は対象外で、終末期の際の対応について事前に取り決めておくなど、医師と看護師の十分な連携が取れているという条件の他に、事前に患者や家族の同意が必要となる。
「12時間以上かかるケース」とは、「離島にいる患者で死亡した際に船が航行していない」ことや「医師が早急に対応できない」などの正当な理由が挙げられる。

医師が沿革で死亡診断を行う流れとしては、研修を受けた看護師が患者の元に行き、死の三兆候などを確認する。医師が死亡診断を行うのに必要な情報をテレビ電話などによって看護師が行い、それをもとに医師が遠隔で死亡診断を行い、看護師に死亡診断書の代筆を指示する、という流れである(図1)。

図1 医師が遠隔で死亡診断を行う際の一連の流れ

死亡診断を補助する看護師の研修は今秋には開始する予定で、研修期間は1週間程度。研修内容は、①法医学等に関する講義、②法医学に関する実地研修(死体検案や法医解剖への参加など)、③看護に関する講義・演習など。ICTによる報告では、リアルタイムで動画による双方向コミュニケーションが可能なデバイスを使って、心停止、呼吸停止、対光反射の消失の確認をリアルタイムで医師に報告しつつ、5分以上の間隔を空けて2回実施する、などの要件が出されている。

ガイドライン案が提案する要件は以下の5点である。

  1. 1医師による直接対面での診療の経過から早晩死亡することが予測されていること
  2. 2終末期の際の対応について事前の取決めがあるなど、医師と看護師と十分な連携が取れており、患者や家族の同意があること
  3. 3医師間や医療機関・介護施設間の連携に努めたとしても、医師による速やかな対面での死後診察が困難な状況にあること
  4. 4法医学等に関する一定の教育を受けた看護師が、死の三兆候の確認を含め医師とあらかじめ決めた事項など、医師の判断に必要な情報を速やかに報告できること
  5. 5看護師からの報告を受けた医師が、テレビ電話装置等のICTを活用した通信手段を組み合わせて患者の状況を把握することなどにより、死亡の事実の確認や異状がないと判断できること

当ガイドラインについて日本法医学会が出した見解の要約を紹介しよう。

  1. 1担当する看護師に対する、死後診察の現場で求められる水準の「法医学」の教育は、数日程度の受講のみでは質的・量的に不十分であると考えられる。
  2. 2ICTを利用した死亡診断を行う際には、外表の検査所見だけでは判断に苦慮する事例も少なくないため、通常の死体検案以上に十分な学識と経験が必要となる。それを踏まえた医師への研修が必要になる。

詳しくは、下記の各Webサイト参照

・厚生労働省Webサイト

「情報通信機器(ICT)を用いた死亡診断等の取扱いについて(医政発 0912 第1号 平成29年9月12日)」

・厚生労働科学研究成果データベースWebサイト

「ICTを利用した死亡診断に関するガイドライン策定に向けた研究」

・日本法医学会Webサイト

「情報通信機器(ICT)を利用した死亡診断等ガイドラインについて、日本法医学会としての見解」

  • ※この記事内容は公開当時の情報です。ご留意ください。

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