2017/10/26
「65歳以上?70歳以上?」―高齢者の定義の見直しが日本老年医学会をはじめいくつかの学会から提唱されているが、2017年9月18日の敬老の日を迎えるにあたり、最新の高齢者動向が発表された。総務省統計局によると、わが国の65歳以上(高齢者)の人口は2017年9月15日時点で3,514万人。これは総人口比で27.7%となり、4人に1人が65歳という基準から3人に1人に近づきつつあることがわかった。これは高齢化の急速な進展とともに、総人口の減少という要因もあるだろう。高齢化率の高いイタリアで23.0%、ドイツで21.5%、フランスで19.7%であることから、諸外国と比較してみても、日本の高齢化が世界でも最速で進んでいることがわかる。国民4人に1人が高齢者となった2014年は、団塊の世代が高齢者の仲間入りをしたときで、その後、ますます高齢化が進んでいる(図1)。
すでに国では「2025年問題」として、団塊の世代が75歳以上になる時期を一つのターニングポイントと定め、「地域包括ケア」の推進や、それに向けての医療・保健・福祉施設の再構成などの構造的な社会保障制度の抜本的な見直しに取り組んでいる。2018年4月に迫る診療報酬・介護報酬同時改定の動きは、まさに2025年体制への重要な布石となるだろう。これに応じて、社会福祉をはじめさまざまな行政施策で、これまでの常識にとらわれない思い切った対応が求められている。
図1 総人口及び高齢者人口の推移(平成12年~平成29年)
引用:総務省統計トピックスNo.103 「統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)」
生産年齢人口の減少に伴って問題になってくるのが、社会保障制度を担う経済的な支え手についてである。従来は60歳定年で、それ以降を年金によって生活できるレベルが保証されていたが、今後はそのような図式は描きにくくなるだろう。高齢者になっても働くことができる間は働いて、社会保障の支え手になることが求められる。2016年現在の高齢者の就業率は22.3%(男性30.9%、女性15.8%)であり、実数770万人となっている。つまり65歳以上の男性の3人に1人は何らかの職業に就いていることになる。諸外国では、米国18.6%、カナダ13.1%、ドイツ6.6%となっている。日本の場合、15歳以上の就業者総数に占める高齢者の割合は11.9%となり、これも過去最高となった。
問題は正規雇用者が少ないことだろう。役員を除いた高齢雇用者の非正規雇用率は75.1%、つまり4人に1人しか正規雇用ではないことになり、パート・アルバイトの方が半数にものぼる。このうち現在の雇用形態についた主な理由として、「正規雇用を望んでいるが該当する仕事がないから」という男性は10.7%いることから、65歳以上の働ける高齢者の正規雇用の増加が望まれる。こうした超高齢社会を迎えるにあたって、高齢者も含めた国民全体の「働き方」を抜本的に見直す時期にきているといえよう。
詳しくは、下記の総務省統計局Webサイト参照
http://www.stat.go.jp/data/topics/topi1030.htm
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