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2017/11/22

「ヒルドイド」などの保湿剤は「化粧品代わり?」―健保連が警鐘

「ヒルドイド」等の保湿剤を美容のために使って効果があったという有名人のレポートを発端に、医療用の保湿剤が「美容目的」で使われるケースが多くみられるようになったことから、健康保険組合連合会が警鐘を鳴らしている。同会では、ヒルドイドなどの保湿剤に関して、「化粧品代わりに処方してもらうことが流行している可能性が高い」として、「皮膚乾燥症で、他の外皮用薬もしくは抗ヒスタミン薬と同時処方されていない場合には保険適用から除外する」ことなどを提言した。確かに、WEBなどで「ヒルドイド」を検索してみると、「アンチエイジングクリーム」「美容クリーム」「化粧水」などと紹介されているものが多い。

健康保険組合連合会では、10月6日に「政策立案に資するレセプト分析に関する調査研究Ⅲ」を公表したが、これは2018年度診療報酬改定に向けて、レセプトデータを分析するなどしたものである。この中で、下記の3項目の提言をしている。

  • 薬剤服用歴管理指導料は、全年齢階級の患者について算定が可能であるが、薬剤服用管理をより必要とする患者層に限定すべきである
  • 現行の歯科診療報酬における「歯科疾患管理料(100点)」については、継続的な管理を行った場合に限定して算定できるようにすべきである
  • 外来診療で皮膚乾燥症に対して保湿剤(ヘパリン類似物質または白色ワセリン)が他の外皮用薬もしくは抗ヒスタミン薬と同時処方されていない場合には、当該保湿剤を保険適用から除外する

同調査は、124健保組合における2014年10月から2016年9月までの2年間の診療分で、保湿剤が1種類以上外来で処方された医科、調剤のレセプトデータを分析したものだ。その結果、処方回の8割強において、ヘパリン類似物質(「ヒルドイド」等)が処方され、処方額は約147億円だった。保湿剤の処方額全体のうち、約17%は保湿剤の各成分(ヘパリン類似物質、白色ワセリン、ヘパリンナトリウム)のみの処方によるものであった。性別、年代別に分析すると、男性における保湿剤のみの処方額は約11億円、女性は約17億円で1.5倍の開きがあった。25~54歳に限ると、処方額は男性が約1.2億円で、女性は約5.9億円だった。2014年10月からの1年間と、2015年10月から1年間を比較すると、ヘパリン類似物質単剤処方のレセプト増加件数は、25~54歳において女性は男性の5倍以上だったという。

この調査結果を踏まえて、同会では、保湿剤は診療ガイドラインで保湿剤の使用(併用)が強く推奨されるアトピー性皮膚炎等の患者に処方されている一方、現状では処方薬による保湿の必要性が低いと考えられる患者(その他の外皮用薬や抗ヒスタミン薬の処方がなく、かつ傷病名称が皮膚乾燥症のみ)に対してもヘパリン類似物質や白色ワセリンが単剤処方されていること、そして、数年前から美容目的で「皮膚乾燥症」のレセプト病名でヘパリン類似物質の単剤処方を受ける患者が増加している可能性があることを指摘している。そこで、外来診療で皮膚乾燥症に対して保湿剤が他の外皮用薬もしくは抗ヒスタミン薬と同時処方されていない場合には、当該保湿剤を保険適用から除外することを提言している。

こうした提言に関して、日本皮膚科学会では正式な要望書を出す動きもある。このような点も含めて、中央社会保険医療協議会の総会では、来年の診療報酬改定における議論の俎上にも上がった。

詳しくは、下記の各Webサイト参照

・健康保険組合連合会Webサイト
<概要版>
http://www.kenporen.com/include/outline/pdf/chosa29_01gaiyo.pdf

<全文>
http://www.kenporen.com/include/outline/pdf/chosa29_01.pdf

・公益社団法人日本皮膚科学会Webサイト
https://www.dermatol.or.jp/modules/news/index.php?content_id=462

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