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2017/12/13

「排尿自立指導料」保険収載までの取り組み―看保連の情報交換会

平成30年度診療報酬・介護報酬改定に向けて国の中医協(中央社会保険医療協議会)の議論が活発に行われている。さまざまな医療技術・看護技術が診療報酬上の評価を得られるかどうかは、各学会からの要望の検討に始まる。診療報酬・介護報酬の適正化を目指した活動を行っているのが「三保連」である。三保連とは、内科系学会社会保険連合(内保連)、外科系学会社会保険委員会連合(外保連)、看護系学会等社会保険連合(看保連)の3つの社会保険連合のことだ。具体的には、定期的にシンポジウムを開催し、情報交換・意見交換や共同声明の発表などを行っている。中でも看保連は、学術的根拠に基づいて社会保険医療・看護の在り方を提言し、看護の診療報酬体系の充実・適正化を促進することを目的とした組織で、2005年7月から活動を開始し、現在49看護系学会団体で構成されている。平成28年度診療報酬改定における認知症ケア加算、排尿自立指導料の新設において看保連が果たした役割は大きい。

2017年11月7日、聖路加国際大学アリス・C・セントジョン メモリアルホールにて、看保連第7回情報交換会が開催された。テーマは「成功事例から学ぶ!診療報酬改定に向けた活動の実際」であった。「糖尿病合併症管理料及び糖尿病透析予防指導管理料」について日本糖尿病教育・看護学会から数間恵子氏が、「排尿自立指導料」について日本創傷・オストミー・失禁管理学会から真田弘美氏が話された。参加された方々は、所属する看護系団体の社会保険委員など、診療報酬収載のための活動に従事している方々で、先行する成功事例は非常に関心をもたれていた。特に「排尿自立指導料」はこれまで看護師の日常生活援助とされていた「排尿ケア」が診療報酬上認められたことから、看護にとっては画期的なことであり、関連学会の関心も高かった。真田氏の発表の概要を紹介しよう。

日本創傷・オストミー・失禁管理学会では、2013年に医療技術評価として「下部尿路症状の排尿指導料」を提案した。対象は下部尿路症状を有する入院中の40歳以上の成人・高齢者で、提案した技術は「看護師による膀胱機能評価から保存療法」であった。しかし、この提案は、「排尿ケアは看護の基本」であり入院基本料に含まれるもので、特別な看護技術とはいえないために退けられたという。そこで、アドバンスな排尿ケア技術を皮膚・排泄ケア認定看護師だけでなくすべての臨床看護師に習得してもらうために「下部尿路症状の排尿ケア講習会」を開始。戦略的に「急性期病院でのカテーテルの早期抜去」を目的にエビデンスの集積を行った。そして、診療報酬収載の決め手の一つがチーム医療と判断し、2015年には医師・看護師・理学療法士らのチームによって排尿ケアの自立を促す「下部尿路機能療法」を提案した。その結果、いくつかのハードルを超えて2017年診療報酬改定において「排尿自立指導料」を獲得できたという。週1回患者1人につき6回を限度とした200点の算定であり、各病院にとって診療報酬上の評価は高い。

「排尿自立指導料」の内容面での特徴は、「診療計画書」のモデルを提示したことと、残尿測定のためにエコーを導入したことだという。排尿自立の定義を「排尿管理方法は問わず、自力で排尿管理が完結できること」とし、排尿自立度と下部尿路機能を客観的に評価できるスケールを作成。ケアプランまで含めて一覧できる「排尿自立指導に関する診療の計画書」を提示した。また、残尿量の評価法として非侵襲性で患者負担が少ないエコーによる方法を導入した。真田氏は、これらの技術が評価されての診療報酬の収載となったと報告した。そして、社会保障費の制限がある中で医療費削減の大きな動きがあり、その中で新たな保険収載はますます厳しくなる現状を訴え、獲得のための方法として「エビデンスの蓄積」「関連学会との調整・協力」「技術普及・成熟のための教育活動」の3点を挙げ、何より「これを通そうとする熱意」であることを強調された。

看護技術が診療報酬上の評価を得ることは、看護のアイデンティティ確立につながることであると同時に、看護自体が社会的に評価された証しにもなる。それらを勝ち取っていく戦略として大変興味深い実践報告であり、今後も看保連の充実した活動に期待したい。

詳しくは、下記の各Webサイト参照

・一般社団法人看護系学会等社会保険連合

・一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会

・診療報酬等の情報「排尿自立指導料」

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