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2017/12/20

便秘の定義・分類、下剤の使用について新たな指針-『慢性便秘症診療ガイドライン』出される

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特集:新たな段階に移る“便秘ケア”

便秘への対応といえば「酸化マグネシウム(カマ、カマグと呼ばれている)」-そんな思い込みはないだろうか?便秘は患者が訴える症状の中でも頻度の高いものである一方、それほど深刻に受け止められていない側面もある。そもそも便秘にはどのような定義があるのだろう。多くの医療従事者が認識している「3日以上便が出てない状態」というのは日本内科学会の定義である。学会ではこれに「または毎日排便があっても残便感がある状態」を加えている。日本消化器病学会では、「排便が数日に1回程度に減少し、排便間隔不規則で便の水分含有量が低下している状態(硬便)を指す」としている。オピオイドの有害事象である便秘は重篤なものもあるため、日本緩和医療学会では便秘を定義し「腸管内容物の通過が遅延・停滞し、排便に困難を伴う状態」としている。

2017年10月に、日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会が作成した『慢性便秘症診療ガイドライン2017』(南江堂)が刊行された。その中で便秘は「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」とシンプルに定義された。成人の便秘症診療のためのガイドラインはわが国初のもので、超高齢化に伴って深刻な慢性便秘症が増えていることや、患者のQOLを考慮した際には優先的に取り組むべき問題と認識されてきたことの現れといえよう。日本における便秘の有病率の推移では、60歳代までは女性が圧倒的に多いが、その後男性の便秘症も急増し、70歳以上では男女とも非常に高くなっている。これは、加齢による蠕動運動の変化や、環境の変化(運動量の減少、併存疾患、処方薬、食事量の変化、精神状態の変化など)が便秘症を増やす要因となっていることも考えられるという。

本ガイドラインでは、慢性便秘症の分類を、まず「器質性」と「機能性」に分け、器質性を「狭窄性」と「非狭窄性」に分けている。非狭窄性と機能性はさらに、症状により「排便回数減少型」と「排便困難型」に分けた。治療としては「保存的治療」を表1のように示している。これらの治療法に関して、エビデンスレベルをAからDまでの4段階で示し、推奨度は「強い推奨」か「弱い推奨」で示した。

表1 慢性便秘症の保存的治療

1.生活習慣の改善 食事、運動、飲酒、睡眠など
2.内服薬による治療 ⅰ)プロバイオテクス
ⅱ)膨張性下剤
ⅲ)浸透圧性下剤
ⅳ)刺激性下剤
ⅴ)上皮機能変容薬
ⅵ)消化管運動賦活薬
ⅶ)漢方薬
3.バイオフィードバック療法 (機能性排便障害に対して)
4.外用薬による治療 ⅰ)坐剤
ⅱ)浣腸
5.摘便  
6.逆行性洗腸法  

この中でも「内服薬による治療」が主となるが、浸透圧性下剤の投与は「推奨の強さ:1(強い推奨)(合意率98%)」「エビデンスレベル:A」と非常に高い。浸透圧性下剤のうち塩類下剤である酸化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、硫酸マグネシウムは日本では広く使用されているが、大規模な比較試験は行われていないという。ただ、腎不全患者では高度高マグネシウム血症が報告されていることから、定期的なマグネシウム測定が推奨されている。日本で多用されている刺激性下剤は「慢性便秘症に対して、刺激性下剤は有効であり、頓用または短期間の投与を提案する」「推奨の強さ:2(弱い推奨)(合意率96%)」「エビデンスレベル:B」とされた。

米国消化器病学会の「便秘症診療ガイドライン」では、下剤の適正使用に関して、生活習慣指導と浸透圧性下剤の投与が基本であり、必要時にのみ刺激性下剤を併用するように勧奨しているという。

日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会
B 5判、112頁、定価3,024円(本体2,800円+税)
発行:南江堂

詳しくは、下記の南江堂Webサイト参照
http://www.nankodo.co.jp/g/g9784524255757/

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