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2018/01/10

熊本地震発生後の皮膚・排泄ケアチームの活動から

2011年に発生した東日本大震災後は、震災直後からさまざまな医療問題への対応が急務とされた。皮膚・排泄ケア領域でも、創傷や褥瘡への対応をはじめ、寝たきり高齢者への援助、ストーマ保有者への対応など、援助のための多くのポイントが示された。日本創傷・オストミー・失禁管理学会では、災害発生時に学会が組織的に展開する支援活動をマニュアル化して示した。同時に、災害時にその地域にいる皮膚・排泄ケア認定看護師が取り組むべき具体策を『皮膚・排泄ケア領域における災害対応ガイドブック』として示している。

2016年4月に発生した熊本地震では、こうした学会の取り組みをもとに、被災地の皮膚・排泄ケアチームが、地に足のついた活動を展開した。その概要を「平成28年熊本地震における当院皮膚・排泄ケアチームの活動報告」としてまとめたレポートが、日本褥瘡学会誌(Vol.19 No.4 2017)に収載された。報告したのは、熊本赤十字病院の皮膚・排泄ケア認定看護師である伊藤奈央氏・西村奈緒氏、形成外科医の黒川正人氏、皮膚科医の吉野雄一郎氏のメンバーだ。同院は震源地から最も近い基幹災害拠点病院であることから、高齢者や障害をもつ避難者に皮膚・排泄ケア領域の支援が必要になることを予測して皮膚・排泄ケアチームを立ち上げた。

熊本県内の皮膚・排泄ケア認定看護師は25名。そのうち半数は被災していたが、すべてのメンバーが連携して情報交換をし、被災者支援を行った。活動のベースになったのが前述の『皮膚・排泄ケア領域における災害対応ガイドブック』であった。同院の皮膚・排泄ケアチームは、皮膚科医、形成外科医、皮膚・排泄ケア認定看護師で構成され、院内だけでなく院外でも創傷全般に対して活動を行ったという。

今回の地震による最も大きな問題は、地域全体の断水であった。院内のスキンケア用品の在庫を確認し、清拭や陰部洗浄用に洗い流しの必要のない洗浄料を使用。水をなるべく使わないでできるスキンケア、創傷ケア、ストーマケアを実施したのが特徴だったという。院内のストーマ保有者だけでなく、救急外来や避難所に来るストーマ装具をもたないストーマ保有者への支援を行った。褥瘡予防エアマットレスも、停電による影響は避けられない。病院では被災直後に自家発電に切り替わったが、エアマットレスを使用している全患者に、電源の確認と底付きの有無を確認していった。これらは、すべて同ガイドブックの「Ⅲ.発災後の対応」に詳述された内容に則ったものだ。他チームとの連携では、DMATやICTチーム、DVTチームなどと情報共有を行っている。

この活動は本震発生から65日目まで継続され、その間に計4回、述べ15か所の避難所を回ったという。こうした活動のおかげで、担当した避難所から褥瘡発生やストーマのトラブル、失禁などによる入院はなかったという。災害はいつどこで起こるか予測できない。緊急時にこうした活動が即座に行われるためには、日頃からの地道な準備と、何より「常に顔の見える関係」を築いていくことが必要だと思わせる報告であった。

詳しくは、下記の一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会Webサイト参照
『皮膚排泄ケア領域における災害対応ガイドブック』

http://www.jwocm.org/pdf/disaster_guidebook.pdf

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