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2018/1/25

非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに対する日本呼吸器学会の見解

最近、いわゆる“電子タバコ”を吸っている人をみかけるようになった。世界的に禁煙の動きが進むなかで、従来の紙巻きタバコとは異なる「非燃焼式・加熱式タバコ」、あるいは「電子タバコ」への切り替えが進んでいるようだ。これらのタイプのタバコには健康被害はないのだろうか。一般社団法人日本呼吸器学会では、「非燃焼・加熱式タバコ」や「電子タバコ」について以下のように注意を呼びかけている。

  1. 1非燃焼・加熱式タバコや電子タバコの使用は、健康に悪影響がもたらされる可能性がある。
  2. 2非燃焼・加熱式タバコや電子タバコの使用者が呼出したエアロゾルは周囲に拡散するため、受動吸引による健康被害が生じる可能性がある。従来の燃焼式タバコと同様に、すべての飲食店やバーを含む公共の場所、公共交通機関での使用は認められない。

従来の「紙巻きタバコ」は、葉に火を着けて燃やしその煙を吸うのに対して、「非燃焼・加熱式タバコ」「電子タバコ」は「燃やさない」のが特徴とされている。「非燃焼・加熱タバコ」は、葉タバコを加熱することによりニコチン含有エアロゾルを発生させて吸引するタイプで、「電子タバコ」は液体(ニコチンを含むもの、あるいは含まないもの)を加熱してエアロゾルを発生させて吸引するタイプである。これらは葉を直接燃やさないために有害成分を削減できること、さらに副流煙による他者への健康被害を軽減できることから利用者が増えていると言われる。しかし、「非燃焼・加熱式タバコ」や「電子タバコ」には、従来の燃焼式タバコと同様に依存性薬物であるニコチンが含まれている。

日本呼吸器学会の見解では、「非燃焼・加熱式タバコ」や「電子タバコ」は、燃焼式タバコをやめられない人、あるいはやめる意志のない人にとっては健康被害の低減につながるとして従来の燃焼式タバコ使用者は代替品として電子タバコを使用することを推奨する考え方があるが、これらの新型タバコの使用と病気や死亡リスクとの関連性についての科学的証拠が得られるまでには、かなりの時間を要するとしている。実際には「非燃焼・加熱式タバコ」の主流煙中に燃焼式タバコとほぼ同レベルのニコチンや揮発性化合物(アクロレイン、ホルムアルデヒド)、約3倍のアセナフテン(多芳香環炭化水素物)等の有害物質が含まれていることが報告されているという1。現時点ではエビデンスは明らかでなく推測に過ぎないことから、同学会では、誤った流布に警鐘を鳴らしている形だ。

世界保健機関(WHO)でも、「電子タバコのエアロゾルにさらされると、健康に悪影響がもたらされる可能性がある」と指摘している2。同時に、“見えにくいエアロゾル”中には通常の大気中濃度を上回る有害物質があるため、「受動喫煙者の健康を脅かす可能性があると考えることが合理的である」とも述べている2

文献
1) Auer R, et al. Heat-Not-Burn Tobacco Cigarettes: Smoke by Any Other Name. JAMA Intern Med. 177:1050-1052, 2017. 3
2)日本禁煙学会Webサイト「電子タバコに関する世界保健機関報告書」
http://www.jstc.or.jp/uploads/uploads/files/%20DTWHO.pdf

詳しくは、下記の一般財団法人日本呼吸器学会Webサイト参照
「非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに対する日本呼吸器学会の見解」
http://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/photos/hikanetsu_kenkai.pdf

  • ※この記事内容は公開当時の情報です。ご留意ください。

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