ニュース

2018/3/23

注射剤によるアナフィラキシー発現に対して十分な注意を喚起

一般社団法人日本医療安全調査機構の医療事故調査・支援センターでは、医療事故の再発防止に向けた提言第3号として、「注射剤によるアナフィラキシーに係る死亡事例の分析」を発表した。注射剤によって起こるアナフィラキシーによる死亡事故は以前から問題視されていたもので、同様の事象が繰り返して起こっている。今回の提言では、「死亡に至ることを回避する」という視点から12事例を分析している。提言として挙げられているのは以下の6項目である。

提言1:アナフィラキシーの認識

提言2:薬剤使用時の観察

提言3:症状の把握とアドレナリンの準備

提言4:アドレナリンの筋肉内注射

提言5:アドレナリンの配備、指示・連絡体制

提言6:アレルギー情報の把握・共有

アナフィラキシーは、あらゆる薬剤で発症の可能性があり、特に造影剤、抗菌薬、筋弛緩薬等の投与によって起こることが多い。今回の12事例の内訳も、造影剤4例、抗菌薬4例、筋弛緩薬2例、蛋白分解酵素阻害薬1例、歯科用局所麻酔薬1例であった。日本アレルギー学会が定めるアナフィラキシーの診断基準では、以下の3項目のうちどれかに該当すればアナフィラキーと診断することになっている。

  1. 1皮膚症状または粘膜症状のいずれかが存在し、急速に発現する症状で、かつ呼吸器症状、循環器症状の少なくとも1つを伴う。
  2. 2一般的にアレルゲンとなりうるものへの曝露の後、急速に発現する皮膚・粘膜症状、呼吸器症状、循環器症状、持続する消化器症状のうち、2つ以上を伴う。
  3. 3当該患者におけるアレルゲンへの曝露後の急速な血圧低下。

今回分析した12事例のうち10事例において、アナフィラキシーの何らかの症状が出現し始めたのが5分以内であったという。特に医薬品、静脈内注射によるアナフィラキシーは、発症すると急変するまでの時間が短いこともあり、薬剤投与にあたっては、アナフィラキシー発症の可能性を常に意識することが重要であるとしている。

詳しくは、下記の一般社団法人日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)Webサイト参照
https://www.medsafe.or.jp/modules/advocacy/index.php?content_id=1#teigen003

  • ※この記事内容は公開当時の情報です。ご留意ください。

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