2018/5/24
ICTの有効活用は、国をあげてさまざまな施策に登場しているが、医療をめぐるICT活用の状況も大きく変わりつつある。今回の診療報酬改定に盛り込まれた「先進的な医療技術の適切な評価と着実な導入」の中の「遠隔診療の評価」がそれだ。遠隔診療とは「情報通信機器を用いた診療」のことで、表1のような要素に分けられる。その中でも、「オンライン診療」として、「オンライン診療料」「オンライン医学管理料」「在宅時医学総合管理料 オンライン在宅管理料」「精神科在宅患者支援管理料 精神科オンライン在宅管理料」が新設された。
表1 遠隔診療への対応
診療形態 | 診療報酬での対応 | |
---|---|---|
医師対医師 | 情報通信機器を用いて画像等の送受信を行い特定領域の専門的な知識を持っている医師と連携して診療を行うもの | 遠隔画像診断 遠隔病理診断 |
医師対患者 | 情報通信機器を用いた診察 | オンライン診療
|
情報通信機器を用いた遠隔モニタリング | 遠隔モニタリング
|
「オンライン診療料」は、70点(1月につき)が算定できる。これは、情報通信機器を活用した診療について、対面診療の原則の上で、有効性や安全性等への配慮を含む一定の要件を満たすことが前提となっている。オンライン診療が算定可能な患者(表2)に対して、リアルタイムでのコミュニケーション(ビデオ通話)が可能な情報通信機器を用いてオンラインによる診療を行った場合に算定できる。この場合、厚生労働省が定めた「情報通信機器を用いた診療に係る指針」に沿った診療体制をもつことが条件になっている。また、緊急時に概ね30分以内に当該保険医療機関が対面による診察が可能な体制をもっていることが必要だ。
表2 オンライン診療が算定可能な患者
この「30分以内」については、多くの疑義照会があったようで、「2018年度診療報酬改定に関する疑義解釈(その1)」では、厳密に30分以内でなければ要件を満たさないのかという疑問に対し「日常的に通院・訪問による診療が可能な患者を対象とするものであればよい」と明示している。さらに、患者が自院まで通院できないケースもあることから、概ね30分以内に往診が可能な体制でも施設基準を満たすとしている。
また、オンライン診療料を算定する患者が老人ホームなどに入居している場合には、要件を満たせば算定可能である。ただし、患者の診療上のプライバシーに配慮した環境の確保などに留意する必要があると明記されている。
厚生労働省では、情報通信機器を用いた診療の適切な普及のために、医療上の必要性、安全性、有効性等を担保する必要があることから、平成30年2月から「情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン作成検討会」を開催し、情報通信機器を用いた診療を行うに当たり必要なルールについて検討を行ってきた。それを受けて策定された「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が、施設基準で示された「情報通信機器を用いた診療に係る指針」のことである。
詳しくは、下記の厚生労働省Webサイト参照
・平成30年度診療報酬改定について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html
・オンライン診療の適切な実施に関する指針
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000201789.pdf
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