2018/10/16
8月27日~31日の5日間にわたって、東京大学本郷キャンパスで「International Summer Program for Skin Integrity in Japan 2018」が開催され、世界13カ国からおよそ50名の受講生が集まった。主催は東京大学大学院医学系研究科附属グローバルナーシングリサーチセンター(真田弘美・センター長)である。午後のプログラムは、共催した日本創傷・オストミー・失禁管理学会会員に無料公開された。ちなみに、“Skin Integrity”とは「皮膚統合性」と訳され、看護診断名“Impaired Skin Integrity(皮膚統合性の障害)”とは「褥瘡」のことだ。
主なプログラムは「国際特別講演」「ヘルスケアシステムと看護」「ハンズオン」に分かれ、それぞれリンパ浮腫、創傷にかかわる世界の最先端の研究が発表され、世界中から集まった若手研究者と招聘された30名の講師により熱い議論が展開された。
リンパ浮腫に関しては、英国のクリスティン・モファット博士が、小児のリンパ浮腫患者に対して自己管理を記録することで自己効力感(セルフエフィカシー)を促す研究を紹介した。その他、デンマークのスーザン・ネレガード博士が、リンパ浮腫患者の多い蜂窩織炎の予防について講演した。
ヘルスケアシステムで興味深かったのは、タイの健康保険制度で、オストミー患者が手厚いケアを無料で受けられる仕組みと、ストーマケアを行う看護師に何らかの経済的誘導がつくように制度改変が進められているとのことであった。
ハンズオンセミナーでは、リンパ浮腫をはじめ、褥瘡や血管に用いるエコーの使い方、サーモグラフィ、スキンブロッティングなど、日本の最先端の医療機器を使ったアセスメント・ケア方法を体得できた。
参加した日本の皮膚・排泄ケア認定看護師も、英語でのプレゼンテーションや質疑に戸惑いながらも、世界の創傷やリンパ浮腫の最新情報に触れられ、世界の研究者・実践家との交流に満足した様子であった。最終日には、真田教授から受講生全員に修了証が手渡された。
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