2018/11/7
国立がん研究センターは、全国のがん診療連携拠点病院等におけるがん患者の3年生存率をはじめて公表した。対象となったのは2011年の1年間にがんと診断された患者の3年生存率で、2011年の院内がん登録データ(268施設)を用いて集計された。同センターは、本集計の目的として「各医療機関が、自らの医療の質を見直すきっかけとなるデータを提供すること、国民に情報を公開することで、がん医療の透明性を確保すること等」を掲げている。
これまでは、多くのがんで5年後の生存状況(5年生存率)が治癒の目安の1つとして用いられてきたため、同センターでは5年生存率の集計をこれまで2回発表してきた。今回、3年生存率をまとめたのは、科学的根拠に基づく情報を国民に迅速に提供するためとのことだ。
今回の集計では、胃、大腸、乳房、肝臓、肺の主要5部位に加え、食道、膵臓、前立腺、子宮頚部、子宮体部、膀胱の6部位を加えた11部位についての生存率がまとめられた。
がん以外の死因を取り除いた「相対生存率」で見ると、がん全体の3年生存率は71.3%であった。部位別に見ると、最も高いのが前立腺がんの99.0%であり、次いで乳がんの95.2%となっている。逆に、最も低いのは膵臓がんの15.1%で、その次に低いのが肺がんの49.4%であった。膵臓がんの3年生存率が、他の部位より非常に低いことがわかる(表1)。
前立腺がん | 99.0% |
乳がん | 95.2% |
子宮体がん | 85.5% |
子宮頸がん | 78.8% |
大腸がん | 78.1% |
胃がん | 74.3% |
膀胱がん | 73.5% |
肝臓がん | 53.6% |
食道がん | 52.0% |
肺がん | 49.4% |
膵臓がん | 15.1% |
この集計結果を踏まえて同研究センターは、いわゆる難治性がんの診断・治療法の開発が課題であること、今後難治性がんへの議論が高まり、対策が進むことを期待するとしている。
詳しくは、下記の各Webサイト参照
・国立がん研究センターWebサイト
http://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2018/0912/index.html
・国立がん研修センター がん対策情報センター 報告書
http://ganjoho.jp/data/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_reg_surv_4_2011.pdf
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