2018/11/16
乾癬は、銀白色の鱗屑を伴う紅斑を主症状とする皮膚疾患で、わが国では人口の0.1%弱が罹患していると言われている。男性患者は女性の倍近くおり、発症は20~50歳代が多く、かゆみなどの症状や、かさかさした皮膚が落ちる落屑など、見た目によって精神的に苦しんでいる人は多い。世界的にも乾癬患者は多く、10月29日は「世界乾癬デー」とされている。
昨年、国内で25年ぶりに新たな薬が登場した。新薬は、2017年3月に発売された経口乾癬治療薬オテズラ錠(一般名:アプレミラスト、製造販売:セルジーン株式会社)であり、炎症の原因物質の放出を抑えて症状を改善するものだ。オテズラ錠は吐き気や軟便などの副作用はあるが、従来の飲み薬に比べると重い副作用が少ないとされていた。しかし、厚生労働省医薬・生活衛生局の指示によって、添付文書に「重大な副作用」として「重度の下痢」を追記することになった。国内での報告はなかったが、海外での報告や規制状況を踏まえて注意喚起が必要と判断したためだ。
乾癬の原因は不明だが、遺伝的素因を背景にさまざまな後天的因子が加わって発症すると言われている。近年では、メタボリックシンドロームが乾癬の発症や悪化因子として注目されている。表皮細胞のターンオーバーは通常は1か月くらいだが、乾癬では3~4日と亢進する。乾癬の病型は、①尋常性乾癬、②膿疱性乾癬、③関節症性乾癬、④滴状乾癬である。治療法は、軽症ならばステロイド剤やビタミンD3の外用、中等度では、紫外線療法の併用、重症例では、エトレチナート、シクロスポリン、メトトレキサートの内服とされている。オテズラは、①ステロイド外用剤等で十分な効果が得られず、皮疹が体表面積の10%以上に及ぶ患者、②難治性の皮疹又は関節症状を有する患者のいずれかを満たす尋常性乾癬又は関節症性乾癬患者が適用とされている。
乾癬の悪化要因としては、気候、精神的ストレス、疲労、食生活、感染症などがあり、生活上の注意が必要なことから、ナースのかかわりは重要だ。スキンケアでは、特に保湿につとめることが重要になる。
詳しくは、下記の各Webサイト参照
・認定NPO法人東京乾癬の会
https://www.p-pat.org/learn-about-psoriasis
・独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/3999042F1
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