2019/1/25
関連諸学会がかねてからその必要性を強調していた、いわゆる「脳卒中・循環器病対策基本法」が、この度成立した。正式名称は「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」で、脳卒中や心不全などの循環器病の予防を推進し、医療費・介護費の削減を図るというものだ。
脳卒中や心臓病は国民の死亡原因の上位に位置し、これらを合わせた死亡者数は第1位のがんに匹敵する。また、脳卒中は寝たきりの原因の第1位で、患者のみならず家族の負担も大きい。超高齢化で今後も患者数の増加が予想されることから、本法律は健康寿命の延伸と生活の質の向上を図ることを目標に作成された。
本法律の成立に向けては、まず2009年から脳卒中関連14団体で「脳卒中対策基本法」の立法化が目指された。そして、2013年には「脳卒中対策を考える議員の会」が発足し、2014年には約20万人の署名が国会に提出され、「脳卒中対策基本法案」が発議されたが廃案となった。
この段階までに議論があったのは、「個別疾患に対して基本法を作成すること」についてだ。そこで脳卒中関連団体だけではなく、日本心臓財団や日本循環器学会などの団体とともに、「脳卒中」と「循環器病」を合わせた包括的な基本法の法制化に取り組むことになった。これは、両方の疾患の原因と予防策には共通点が多いためである。「脳卒中・循環器病対策基本法の成立を求める会」を発足させ、本法律の法制化に取り組んできた。
本法律の基本理念は、「生活習慣の改善等による循環器病の予防」、「循環器病を発症した疑いがある場合における迅速かつ適切な対応の重要性に関する国民の理解と関心を深めるようにすること」、「循環器病患者等に対する保健」などとされている。
また、国や地方公共団体の基本的施策としては、「循環器病の予防等の推進」、「循環器病を発症した疑いのある者の搬送及び受入れの実施に係る体制の整備」、「循環器病患者等の生活の質の維持向上」等が挙げられている。
詳しくは、下記の各Webサイト参照
・日本脳卒中協会
・脳卒中・循環器病対策基本法の成立を求める会
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