2021/7/2
2021年の夏は、コロナ禍での2回目の夏となる。マスクの着用や窓開け換気といった「新しい生活様式」が取り入れられて初めての夏となった昨年、6月から9月の全国における熱中症による救急搬送人員の累計は約6万5,000人となっており、一昨年と比較して2,000人減少していた(*1)。
熱中症というと炎天下の屋外活動などがイメージされるが、高気温とともに高湿度も重要な発生要因だ。そのため、発生場所として最も多いのは「住居」であり、発生場所の約4割を占めているといわれる。昨年は屋外での熱中症が減少した一方で、住居での熱中症発生率は例年よりも高くなっており、これはコロナ禍によるステイホームに伴う影響と考えられている。
特に高齢者は、暑さや喉の渇きなどを感じにくくなっており、自宅で過ごしている際などでも脱水から熱中症にかかりやすく、また重症化するリスクも高い。初期症状から重症度を見きわめて迅速な対応を取ることが重要である。
熱中症の重症度判定に活用できるツールとして、この度、日本救急医学会から、「スマートフォン用熱中症診断支援アプリケーション」が公開された(*2)。これは、すでに公開されている救急搬送トリアージアプリ「JoinTriage」に、熱中症の重症度予測スコア「J-ERATO Score」を組み入れたものである。バイタルサイン等がわからなくても、キーワードから日本救急医学会熱中症ガイドラインにおける熱中症重症度(Ⅰ-Ⅲ度)の判定を行い、応急処置を指導するとともに、登録してある近隣病院の地図や道順を表示する機能がある。
また、今年からは、熱中症予防のための情報発信として「熱中症警戒アラート」の本格的な運用も始まっており、このようなツール・情報を活用して、熱中症の予防・早期対応に努めたい。
詳しくは、下記の各Webサイト参照
*1 総務省消防庁
「令和2年(6月から9月)の熱中症による救急搬送状況」
https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/heatstroke_geppou_2020.pdf
*2 日本救急医学会
「スマートフォン用熱中症診断支援アプリケーション」(Android/iOS版)公開のお知らせ
https://www.jaam.jp/info/2021/info-20210601_h.html
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●特集:熱中症を見抜く・防ぐ 脱水症の基礎知識と水分管理
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