2019/2/21
医療従事者の働き方について注目が集まっているが、1月11日に開催された厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」において、医師の時間外労働の上限等についての骨子が提案された。通常の上限をはるかに超えた、最長「年1,900~2,000時間」という案には、さまざまな意見が寄せられている。
これは、2024年4月から一般の勤務医の時間外労働の上限を「年間960時間以内、月100時間未満」(休日労働込み)とするとしたうえで、地域医療の確保という観点から、この上限をやむを得ず超える場合には、対象医療機関を限定したうえで、時間外労働の上限を「年間1,900~2,000時間程度以内」(休日労働込み)とする特例の水準(地域医療確保暫定特例水準)を設けたものだ。ただし、これは、医師の偏在を解消する目標年である2035年度末までの特例であるとされている。
■勤務医の働き方の変化のイメージ
(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000467710.pdfより引用)
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そして、このような働き方改革を進めるためには、医療機関内のマネジメント改革や地域医療提供体制における機能分化・連携の推進、上手な医療のかかり方の周知などに取り組むことが必要であるとしている。医療機関内のマネジメント改革では、ICT等の技術を活用した効率化のほか、医師の業務の一部を看護師等に移管する「タスク・シフティング」や業務の共同化である「タスク・シェアリング」が重要で、「看護師の特定行為研修」の推進と「ナース・プラクティショナー(NP)制度(仮称)」の創設が提案されている。
「特定行為研修」は2015年から始まったもので、修了すると医師の診療の補助として手順書に基づいて38行為の「特定行為」を行うことができる。「特定行為研修」については、領域別のパッケージ研修を2020年度から開始することが決まっている。
一方、「ナース・プラクティショナー(NP)制度(仮称)」は、医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療を行える資格を創設するというものだ。日本看護協会では、2018年度の重点政策・事業のなかで「ナース・プラクティショナー制度(仮称)の構築」を掲げており、「看護の基盤をもちながら、医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療などを行う、米国等のような『ナース・プラクティショナー』の資格を、日本においても新たに創設し、急増する医療ニーズに応えていくことが必要だと考えている」と述べている。
労働時間の短縮にあたっては、これら長時間労働の是正以外にも、連続勤務時間の制限や勤務間インターバル確保等による睡眠時間の確保、一人ひとりの医師の健康状態を確認しながら勤務させることなども重要であるとし、議論されている。同検討会は、2019年3月末までに具体的な結論を出す予定だ。
詳しくは、下記の厚生労働省Webサイト参照
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