2019/2/27
日本医療機能評価機構は、「酸素ボンベの残量の確認不足」によって患者の呼吸状態に影響があった事例を報告して注意を喚起している。日本医療機能評価機構ではすでに2010年11月に「酸素残量の未確認」というテーマで事例を取り上げていたが、類似の事例がその後9件報告されたため(集計期間:2010年10月1日~2018年11月30日)、今回の注意喚起となった。ちなみに、2010年11月に公表された「酸素残量の未確認」は、酸素ボンベ等の残量確認に関連した事例が6件報告されたことを受けて公表された経緯がある(集計期間:2007年1月1日~2010年9月30日)。
今回取り上げられたのは、酸素ボンベを使用中に残量がゼロになった事例だ。下表の通り、発生した9件のうち5件は、搬送時以外にも検査中や待ち時間に酸素ボンベを使用した例である。
■搬送時以外に酸素ボンベを使用した例
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報告された事例は下記の通りとなっている。
【事例1】
医師は、患者の呼吸状態が悪化したため緊急で造影CT検査を指示した。看護師は、酸素ボンベが満タンであることを確認したが、酸素流量8L/分での使用可能時間を確認しないまま患者を搬送した。CT検査室の前室に到着後、中央配管からの酸素投与に切り替えなかった。約20分後、CT検査室に入室し検査準備を行っていた際、患者は下顎呼吸になり、SpO2値は90%に低下した。酸素ボンベを確認すると残量がゼロになっており、ただちに中央配管に切り替え、酸素を投与した。
【事例2】
医師は、心臓超音波検査を指示した。看護師は、酸素ボンベの残量が8MPa、酸素流量5L/分での使用可能時間を確認し、病室と検査室間の搬送には十分足りると考え準備した。看護助手が患者を搬送した検査室には中央配管がなかった。臨床検査技師は、酸素ボンベを使用しながら検査を開始し、検査中に残量がゼロになっていることに気付かなかった。検査終了後、看護師と看護助手が検査室に行くと、患者の顔色は不良で呼名反応がなかった。酸素ボンベを確認すると、残量がゼロになっていた。
日本医療機能評価機構では、事例が発生した医療機関の取り組みとして下記3点を紹介し、発生予防と再発防止を促している。
詳しくは、下記の日本医療機能評価機構Webサイト参照
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