2019/2/27
国立がん研究センターは、全国のがん患者の遺族等約4,800名を対象にした、患者が亡くなる前に利用した医療や療養生活の実態についての予備調査結果を発表した(調査期間:2018年2月~3月)。このような、がん患者の人生の最終段階における苦痛や療養状況に関する全国的な遺族調査は、国内初のものである。
本調査の目的は、「がん」「心疾患」「肺炎」「脳血管疾患」「腎不全」のいずれかの病気によって亡くなった患者の遺族の意見を広く収集し、大切な人生の最終段階の時間を可能な限りその人が望むようによりよく過ごすことができる医療のあり方を明らかにすることだ。
アンケート内容は、遺族から見た「医療やケアの質」「亡くなる前1カ月間の患者の療養生活の質」「亡くなる1週間前の時点での患者の痛みや苦痛」などに加え、「家族の介護負担やその後の精神的な負担」がまとめられている。調査結果は以下の通りであった。
「亡くなった場所で受けた医療の質」に関して、「医療者は患者の苦痛症状に速やかに対応していた」と答えた割合は72.0~83.7%であり、「亡くなる前1カ月間の療養生活の質」については「痛みが少なく過ごせた」割合が47.1~52.3%、「身体の苦痛が少なく過ごせた」割合は46.5~50.6%であることがわかった。また、家族の介護体験について、「介護をしたことで負担感が大きかった」割合は42.1~46.6%であり、「死別後の家族が抑うつ症状を有する」割合は9.9~16.7%であった(詳細は下図参照)。
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こうした結果を踏まえて同センターでは、患者の人生の最終段階において、「医療者は患者の苦痛を取り除くために速やかな対応に努めている状況が推測され、医療に対する満足度は高くある一方で、必ずしも全ての人の苦痛が十分に取り除かれていない現状が示唆されました」として、今後、これらの苦痛を軽減するために必要となる緩和ケアや医療に関する施策や研究をよりいっそう推進していくと述べている。
引き続き2019年には本格調査を実施する予定で、対象は2017年に「がん」「心疾患」「肺炎」「脳血管疾患」「腎不全」で亡くなった患者の遺族約50,000名だ。本調査と同様の設問に加え、各疾患の死亡場所別やがんで亡くなった患者の都道府県別の集計も予定しているという。
詳しくは、下記の国立がん研究センターWebサイト参照
http://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2018/1226/index.html
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