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2019/4/17

多職種連携で行う脳卒中患者の「口腔機能管理マニュアル」が完成

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科脳神経機能外科学分野の前原健寿教授らのグループは、日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development : AMED)の支援のもと、多職種連携で行う脳卒中患者の「口腔機能管理マニュアル」を発表した。

脳卒中は日本人の死亡原因の第4位で、患者は自立した生活が困難となり、家族や施設に依存する生活を余儀なくされることも多い。また、脳卒中は介護が必要になる原因の第1位である。脳卒中患者に対する口腔機能管理は、患者の全身状態および予後の改善に重要な役割を果たすことが期待されている。この口腔機能管理には、医師や歯科医師だけでなく、看護師・歯科衛生士・リハビリテーション技師など多職種の連携が必要であり、かつ、急性期から慢性期、在宅という長期にわたって管理する必要性から本マニュアルは作成された。ここでは、看護に関連する内容を紹介する。

脳卒中患者の30~70%に摂食嚥下障害があるとされ、特に問題となるのは誤嚥を伴う場合である。誤嚥は急性期の脳卒中患者に多く、30~50%に誤嚥のリスクがあるが、6か月後まで摂食嚥下障害が残る患者は全体の5~10%程度ともされる。そのため、脳卒中では急性期から摂食嚥下障害への対応を始めることが重要で、安全な経口摂取の回復のために、適切に口腔機能を管理する必要がある。

口腔ケアの最中には、患者の全身状態が悪化し、誤嚥や口腔出血などが生じる可能性がある。したがって、口腔以外にも全身状態のアセスメント、観察力、判断力、実践技術をもつことが必要であり、以下の視点が重要としている。

■口腔ケアに必要な視点

①患者の咽頭部の反射がどのような状態であるのか評価する
②ケアに際して、患者の基礎疾患や臨床検査に基づいて起こりうる局所的・全身的合併症を予測する
③既往疾患の重篤化や偶発症予防のための配慮をする
④各種モニター監視下に口腔ケアを実施する
⑤個々の患者に応じたきめ細やかで、精度の高い口腔ケアを実施する

安全で効果的な口腔ケアを実施するためにはリスク管理が必要となる。また、患者に口腔ケアの必要性や効果を説明することで、スムーズなケアにつながるとも指摘し、口腔ケアの前に確認すべきポイントとして下記が挙げられている。

■口腔ケアの前に確認すべきポイント

・全身疾患/生活習慣病はないか
・バイタルサインに問題はないか
・ADLはどうか
・出血傾向はないか
・感染症はないか
・認知機能障害はないか
・嚥下障害はないか
・ケアする環境はいいか
・歯牙脱落、欠損はないか
・義歯の紛失や破損はないか

口腔機能管理の第一の目的は口腔ケアによる誤嚥性肺炎の予防だが、同時に経口摂取の早期確立も大事な目的とされる。本マニュアルでは、「看護師の口腔ケアによって口腔環境が改善してきたら、嚥下機能を評価した上、積極的に経口摂取の開始を医師と検討しましょう」としている。そして、「看護師は日常的な口腔機能管理のキーマンとなるため、情報共有のために、看護師の病棟カンファレンスに歯科の参加を依頼しましょう」と説明している。

そのほか本マニュアルでは、口腔機能の評価と管理方法、嚥下の評価方法やスクリーニングテスト、嚥下訓練の具体的な手法、栄養状態の評価と管理、院内や転院先・退院先との連携のポイントなどがまとめられている。

詳しくは、下記の日本医療研究開発機構Webサイト参照

https://www.amed.go.jp/news/release_20190124-04.html

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