2019/5/31
近年、医療ニーズを抱える要介護者の在宅療養が増えている。在宅療養を継続するためには適切な在宅医療サービスと介護サービスが一体的に提供される必要があり、介護支援専門員(ケアマネジャー)によるケアマネジメントが重要である。しかし、複雑で多様な医療ニーズをもつ利用者への対応に困難や負担を感じている介護支援専門員も多い。
そこで、日本看護協会では、2018年度厚生労働省老人保健健康増進等事業により、地域の訪問看護師等が介護支援専門員に対して、医療ニーズのある介護保険利用者のケアマネジメントについての相談支援を行うモデル事業を実施した。そこで得られた看護職による介護支援専門員への相談支援のスキームや成果を整理し、「医療ニーズを有する利用者のケアマネジメントに関する看護師による介護支援専門員への相談支援事業実施の手引き」として発表している。本手引きの対象は、介護支援専門員や訪問看護師をはじめ、在宅医療・介護サービスの提供・調整に携わる医療職や介護職などである。
日本看護協会が行ったモデル事業は、2018年10月~12月の間、全国6地域22事業所の協力を得て訪問看護ステーション等に相談窓口を設置し、介護支援専門員からの電話・FAX等での相談に対応するとともに、相談者からの要望に応じて対面による相談支援と、利用者宅等への同行訪問を実施したというものだ(図1)。
図1 訪問看護師等による相談支援 事業スキーム
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介護支援専門員からの相談内容では「疾患や治療方針の理解」が46.9%と最も多く、次いで「訪問看護サービス導入の必要性の判断」が39.7%、「医師(入院・外来診療)との連携」の39.1%などとなっている(図2)。
図2 介護支援専門員からの相談内容(複数回答)
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このほか、介護支援専門員からの相談事例を下記5つに分類し、10の事例とそれへの対応を紹介している。
本相談支援事業により、介護支援専門員によるケアマネジメントや連携調整業務の負担軽減にどのような効果があったかについては、①疾病や治療・ケアの方針、今後予測される問題、リスク等についてケアマネジメントが強化される、②利用者のニーズに応じた多様な専門職・サービスとの連携が強化される、とした。同手引きでは、相談窓口の設置場所や相談対応の対象範囲、他の相談支援機関との連携・役割分担などについてもまとめている。
詳しくは、下記の日本看護協会Webサイト参照
https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/guideline/30_sodanshien_handbook.pdf
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