2019/6/27
職場のパワーハラスメントへの取組みは、国レベルで総合的に進んでいるが、看護職員はどのようなハラスメントを受けているのだろうか。日本自治体労働組合総連合(自治労連)が公表した、2018年「自治体病院に働く職員の労働実態アンケート」の中で、その実態が明らかにされた。
本調査の対象は、自治体病院(診療所含む)で働く職員で、目的は「労働実態や夜勤形態、健康実態を明らかにし、勤務労働条件の改善や働き続けられる職場、地域の医療を守る運動を大きく前進させるため」とされている。23都道府県・97病院から集まった1万2,725人の回答者のうち、看護職員は9,584名であった(看護師8,616名[67.7%]、保健師34名[0.3%]、助産師463名[3.6%]、看護助手471名[3.7%])。その他の回答者は、薬剤師、臨床検査技師、栄養士、リハビリテーション技師などだ。前回の調査は2014年に実施されている。
本調査によると、約2割の看護職員が「セクハラを受けたことがある」と回答し、相手は患者からが60.3%、次いで医師からが27.5%となっている。また、約4割の職員が「パワハラを受けたことがある」と回答しており、その相手は上司からが56.1%、次いで医師からが32.0%という結果であった。
超過勤務については、超過勤務をした職員の約8割が「不払い残業」(サービス残業)があると回答した。記述式回答からは、「超過勤務を3時間以上しても、1回に記入できる時間は2.5時間と言われている。そのように表記すれば、本当に残っていることを理解してもらえず、おかしいと思う」などといった声もあり、労働基準法違反が常態化している状況が明らかとなった。
1年間の年次有給休暇取得日数については、「5~9日」が33.5%、「10~14日」が25.0%、「1~4日」が19.4%、「なし」は5.3%となっている。なしを含めた「4日以内」の取得者は24.7%を占めており、4人に1人が思うように有休を取得できていない状況がわかる。
本調査に回答した看護職員の年齢は、前回の2014年調査と比較すると、30代が28.4%から22.5%と5.9%減り、逆に50代以上が15.2%から20.8%と5.6%増えている。30代の減少は、子育てをしながら働くことの困難さを示している。看護職員の勤続年数について、「現在の病院での勤続年数」という設問では、「3年未満」の回答が2014年では29.0%であり、2018年では19.5%と9.5%も減少している。
「心身の疲労を感じますか」という問いに対して前回の2014年調査では「毎日非常に疲れる」と回答した看護職員は43.5%、「たまに非常に疲れる」が31.5%であった。今回の2018年調査では、「毎日非常に疲れる」が43.3%、「たまに非常に疲れる」が31.6%と変化は見られなかった。
「健康で働くうえで何を改善すべきか」については、看護職員9,579名のうち、6,751名が「人員の拡充」と答えた。次いで「業務量の削減」4,095名、「年次有給休暇の取得促進」3,832名という結果であった。
「十分な看護が提供できていますか」という問いに対して、今回の調査では「できている」の回答率が前回調査より4.3%増え(1,436名:15.0%)、「できていない」の回答率は6.4%減った(3,618名:37.8%)。また、「できていない」主な理由としては「人員不足」(2,925名:30.5%)が最も多く、次に多かったのが「主業務以外の業務が多い」(2,106名:21.9%)であった。
「仕事を辞めたいと思いますか」という問いに対しては、2014年・2018年ともに「いつも思う」と「ときどき思う」を合わせると約8割が辞めたいと思いながら働いている結果となった。
「辞めたいと思う主な理由」は、辞めたいと思うと答えた7,508名(78.3%)のうち、「人員不足で仕事がきつい」が3,896名(51.9%)、次いで「賃金が安い」が2,341名(31.2%)、「休みが取れない」が2,271名(30.2%)となっている。
こうした結果を受けて自治労連は、自治体病院の労働実態の改善に向けて下記5つの取組みを行うと提言している。
詳しくは、下記の日本自治体労働組合総連合Webサイト参照
https://www.jichiroren.jp/sys/wp-content/uploads/2019/05/1688a9a6667af85406625e12e54cea24.pdf
×close
©DEARCARE Co., Ltd.