2019/7/4
野菜・果物・魚・食塩の摂取量と循環器疾患リスクとの関連は多くの研究により明らかになっている。しかし、食事因子の組み合わせによる循環器疾患リスクの評価チャートはこれまでなかった。今回、滋賀医科大学アジア疫学研究センターの三浦克之・センター長らの研究グループは初めて、食事因子による循環器疾患死亡リスクの評価チャートを公開した。
同研究グループでは、1980年の国民栄養調査に参加した全国の30~79歳の男女9,115 名(男性4,002人、女性5,113人、平均年齢50.0歳)を29年間追跡したデータを用いて、まず栄養調査結果から野菜・果物・魚・食塩の1日摂取量を評価し、それぞれの推奨量に対する過不足により複数のカテゴリーに分類した。具体的には、それぞれ350g、200g、80g、8g[女性は7g]を基準としたカットオフ値を作成し、複数のカテゴリーを作成した(この基準は「健康日本21」や「日本人の食事摂取基準」を用いている)。
そして、追跡期間中の循環器疾患(脳卒中および心臓病)による死亡リスクとの関連を分析した。食事因子の組み合わせによる循環器疾患死亡リスク(ハザード比)を試算し、評価チャートとして図示したのが下図である。
29年間の追跡期間中、1,070 人が循環器疾患により死亡した。野菜・果物・魚の摂取量が少ないほど循環器疾患死亡リスクは高く、また、食塩摂取量が多いほど循環器疾患死亡リスクは高いという結果であった。
■食事因子による循環器疾患死亡リスク評価チャート
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野菜175g未満、果物100g未満、魚40g未満と摂取量が最も少なく、食塩摂取量が基準以上の場合、参照カテゴリー(野菜 350g以上、果物200g以上、魚80g以上と摂取量が最も多く、食塩摂取量が基準未満の場合)と比較して循環器疾患死亡リスクは2.87倍となった。
研究グループは、「野菜、果物、魚、食塩の望ましい量を摂取するための個人における食事の見直しや、専門家による食事指導のために本リスク評価チャートを活用が期待される」としている。
詳しくは、下記の滋賀医科大学Webサイト参照
https://www.shiga-med.ac.jp/sites/default/files/2019-04/バインダ1.pdf
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