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2019/8/1

救急・集中ケアにおける終末期看護の実践ガイドが示される

さまざまな場面での意思決定支援のあり方が議論されているが、救急・集中ケアにおける意思決定は特に難しい問題を抱えているといえよう。終末期は、事故や急変、慢性疾患の急性増悪などの緊急の状態変化によって、数時間から数日という短期間で死のプロセスをたどることが多い。患者は自ら意思決定できない状況であることが多いため、家族には患者の代理として意思決定が求められる。

救急・集中ケアにかかわる看護師は、終末期に至った場合、患者とその家族が可能な限りその人らしい最期を迎えられるように終末期看護を実践している。ただ、一般病棟の患者とは異なる終末期への移行や、特殊な環境での終末期看護への悩みや困難さを抱えながらの実践である。そこで、日本クリティカルケア看護学会と日本救急看護学会は、「救急・集中ケアにおける終末期看護プラクティスガイド」を示した。

本ガイドでは、終末期看護の実践的な場面で活用できる具体的なケア内容や望ましい組織体制などが示されている。看護師が実践する終末期看護の概念を多角的な側面から整理し、ケアの行動レベルまでをまとめた内容だ。これまで終末期医療のあり方や家族への支援に関する指針は策定されてきたが、臨床現場における日々の看護に活用できる実践的なガイドは初となる。

本ガイドの目的は、「終末期看護の概要から具体的行動例までの一連の知識と行動を示すことによって、救急と集中ケアの臨床場面で終末期看護を受ける患者と家族のQOL(Quality of Life)/QOD(Quality of Death)を向上させること」である。ガイドによって、救急・集中ケアを受ける患者と家族がより良い死を迎え、終末期看護の質が向上することを目指している。

ガイドの第1部では、目的や構成、使用者、活用方法、終末期看護の全体像とケアの側面を示している。第2部では、終末期看護における看護師の基本的役割と対応、各側面のケアの目的、目標、項目、実践内容、実践行動例を示している。さらに解説編の第3部(別途公開予定)では理論や先行研究から導いたケアの根拠、重要概念、活用できる測定ツールなどを解説する構成となっている。本ガイドは、救急・集中ケアの終末期ケアにおいて直接的なケアや医療チームとの連携を図る際に、看護師や部署を統括する看護管理者が使用できる。

終末期看護では、看護師は「全人的苦痛緩和」、「意思決定支援」、「悲嘆ケア」の直接ケアを実践し、医師や薬剤師などの多職種と連携しながら、医療チームの一員として役割を発揮することが求められる。また、看護管理者は看護師の直接ケアやチーム医療が効果的に機能しているかを確認しながら、終末期医療を提供できる組織体制を整備しておくことが必要である。このように終末期医療では、「組織体制整備」と「チーム医療推進」を土台にした3つの直接ケアで成り立っており、これら5つの概念の全体像と定義は下記のように示されている。

■終末期看護の全体像

■5つの概念の定義

1.全人的苦痛緩和
患者・家族のQOLを維持するために、症状緩和、情報提供、環境調整を実践する。

2.意思決定支援
患者・家族の意思を治療やケアに反映させるために、現状理解の促進、関係者間の調整などを実践する。

3.悲嘆ケア
患者・家族の急性の悲嘆過程を支えるために、感情表出の促進やニーズの充足などを実践する。

4.チーム医療推進
多職種と連携し最善の医療を提供するために、看護師間および医療チーム内の調整やコンフリクトを解消する。

5.組織体制整備
看護管理者が直接ケアと医療チームを推進するために、医療・看護チームを支援し人材と環境を整える。

終末期看護の基本的な対応としては、下記を挙げている。

1.患者・家族の安全を確保する
・患者の病態と治療による侵襲によって安全が脅かされている状況を把握する。
・患者の安寧が守られるよう患者を取り巻く環境を調整する。
・家族の置かれている状況を把握し、家族にとって安全な環境を提供する。

2.信頼関係を構築するコミュニケーションを図る
・対人関係の基本である良好な接遇と対応姿勢をとる。
・患者・家族の話を傾聴し、共感的態度で接する。
・全てのケアでのインフォームドコンセントを原則とする。
・非言語コミュニケーションを活用する。

3.患者・家族の人権を擁護し、意思を尊重する
・患者・家族の意思と選択を尊重する。
・患者・家族の擁護者・代弁者になる。
・守秘義務を遵守し、個人情報の保護に努める。

4.専門知識と技術によるケアリングを実施する
・患者・家族の持つ力を信じ、心身ともに安寧な状態を維持できるよう支援する。
・看護師の専門的知識と技術によって、状況に応じた個別的ケアを実践する。
・患者・家族のストレス状態や危機状態に対するケアを実践する。

この他に、5つの概念である「全人的苦痛緩和」、「意思決定支援」、「悲嘆ケア」、「チーム医療推進」、「組織体制整備」それぞれの目標や実践内容や行動の例などをまとめた表が公開されている。

詳しくは、下記の日本クリティカルケア看護学会Webサイト参照

https://www.jaccn.jp/guide/index.html

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