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2019/10/3

急速に進んできた“科学的”介護の必要性

医療においては、EBM(エビデンス・ベースド・メディシン)、EBN(エビデンス・ベースド・ナーシング)は基本的な考え方として定着・普及しているが、“介護”の領域でもエビデンスの重要性が高まっている。厚生労働省では、「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」において、介護の科学化に積極的に取り組んでいる。令和元年7月4日に開催された検討会では、新たな介護サービスのデータベース“CHASE”を2020年度から起動させ、介護のビッグデータ収集に乗り出す方針を固めた。同省では、近くモデル事業所を選定して、実際にデータ収集をはじめ項目の妥当性を検証し、2020年度からのCHASE本格稼働に備える考えだ。

厚生労働省では、介護のエビデンス構築に向けて、すでに①介護保険総合データベース(介護DB:要介護認定情報、介護保険レセプト情報を格納する、2018年度より全保険者からデータを収集)、②通所・訪問リハビリテーションの質の評価データ収集等事業(VISIT:通所・訪問リハビリ事業所からのリハビリ計画書等の情報を格納、現在500か所程度の事業所から収集し、拡大予定)、という2つのデータベースを稼働させている。検討会では、さらに「介入」「利用者の状態」に関する新たなデータベース“CHASE”設置を打ち出した。“CHASE”とは、「Care, Health Status & Events」の略だ。2018年3月の検討会中間まとめでは、第3のデータベース“CHASE”に265項目のデータを格納する方針を固めていた。今回の検討会のとりまとめ案では、できるだけ多くの事業所等で入力されるべき「基本的な項目」が以下のように決められた。

総論 保険者番号、被保険者番号、事業所番号、性別、生年月日、既往歴(新規診断含む、主治医意見書等からの情報と連携できるよう今後検討)、服薬情報、同居人等の数・本人との関係性(主たる介護者等についても記載を検討)、在宅復帰の有無、褥瘡の有無・ステージ、BI(Barthel Index)
認知症 認知症の既往歴等(新規診断含む)、DBD13[*注1](モデル事業等で項目を整理)、Vitality Index(モデル事業等で項目を整理)
口腔 食事の形態(モデル事業等で形態の分類を整理)、誤嚥性肺炎の既往歴等(新規発症含む)
栄養 身長(計測が容易な場合のみ)、体重(計測が容易な場合のみ)、栄養補給法、提供栄養量・エネルギー(給食システムと連携等し自動取得を模索)、提供栄養量・タンパク質(給食システムと連携等し自動取得を模索)、主食の摂取量(給食システム等と連携、加算の様式例等に含まれる場合のみ)、副食の摂取量(給食システム等と連携、加算の様式例等に含まれる場合のみ)、血清アルブミン値(検診等情報を取得できる場合のみ)、本人の意欲(加算の様式例等に含まれる場合のみ)、食事の留意事項の有無(加算の様式例等に含まれる場合のみ)、食事時の摂食・嚥下状況(加算の様式例等に含まれる場合のみ)、食欲・食事の満足感(加算の様式例等に含まれる場合のみ)、食事に対する意識(加算の様式例等に含まれる場合のみ)、多職種による栄養ケアの課題(加算の様式例等に含まれる場合のみ)

その他、加算対象事業所などで入力されるべき「目的に応じた項目」、各事業所で任意に入力すべき「その他の項目」などが挙げられている。検討会では、これらの項目内容等について特段の反対意見は出されず、多くの構成員から「将来に向けた提案」行われた。主な指摘は、「データベースを現場にどう活かすか」がとても重要であるという点であった。確かに、目的はデータベースの構築ではなく、データを活用して一定の知見(エビデンス)を得て、これを現場に還元することであろう。ガイドラインの整備等により急性期医療で急速に進んでいる科学的エビデンスに則った「標準化」が、介護の分野でもますます進んでいきそうだ。

*注1  DBD13:認知症行動障害尺度のこと。「同じことを何度も聞く」「同じ動作をいつまでも繰り返す」など28項目で構成。認知症の軽度から最重度に至るまでの行動異常が網羅されている。

詳しくは、下記の厚生労働省Webサイト参照

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken_485753.html

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