2019/10/3
わが国の国民は、医療について、どの程度満足しているのだろうか。日本医療政策機構では、医療や医療政策課題等に関する国民の意識や意見を把握するために、2006年より世論調査を実施している。この度、発表された「2019年日本の医療に関する世論調査」では、全国の20歳以上の男女2,000名を対象に、わが国の医療や医療制度への満足度に加え、医療政策への国民の参画、国民皆保険制度の持続可能性、高額医薬品、薬剤耐性、ワクチンについてインターネット調査を行った。その結果のポイントを紹介する。
■医療および医療制度に対する満足度
医療および医療制度については62%が満足という結果が出ている。項目別にみると、71.8%が「医療の安全性」に関して「満足」または「やや満足」と回答しており、一番満足度が高かった。次いで、「診断・治療などの技術の質」に関する満足度が68.4%と高かった。
一方、最も満足度の低い項目は33.7%の「医療制度を作る過程での国民の声の反映」であった。次いで「医療政策を作る過程の透明性」が33.8%、「医療制度の分かりやすさ」が37.4%と満足度が低かった。
■医療政策への国民の参画に関して
「より良い医療の提供のために、医療機関・政府以外に民間企業や研究機関などが協働することは重要と思うか」について二者択一の質問では、約87%が「思う」と答えた。また、患者などが政策の議論に参加したことで2006年に「がん対策基本法」が成立した背景を踏まえ、「自分の声を医療政策に反映させたいと思うか」について二者択一で質問したところ、約8割が「自分の声を医療政策に反映させたいと思う」と回答した。
■国民皆保険制度の持続可能性・高額医薬品について
「日本の国民皆保険制度が現状のまま2040年まで続くと思うか」という質問では、14.2%が「思う」、31.5%が「どちらかといえば思う」と回答し、合計は45.7%であった。
また、高額医薬品の使用に関する質問では、「効き目のある患者にのみ適用する」に「賛成」「どちらかといえば賛成」と回答した人が72.3%と最も多かった。次いで「医薬品の価格を下げる」が69.1%、「順番待ちのリストを作成し、緊急性などを基準に順番に治療を受けられるようにする」が67.3%であった。
高額医薬品が公的医療保険の対象となることについては、20.4%が「賛成」、58.0%が「どちらかといえば賛成」と回答し、合計は78.4%であった。約8割が高額医薬品の保険適用に肯定的であることがわかる。
■薬剤耐性について
「抗生剤/抗生物質の効かない菌(薬剤耐性菌)があることを知っているか」という質問では、47.3%が「薬剤耐性菌という言葉だけ知っている」と最も多い回答であった。また、「詳しく知っている」と答えた人は14.2%と最も少なく、「全く知らない」と答えた人は38.6%であった。なお、51.2%の人が「抗菌薬/抗生物質が風邪やインフルエンザに効果がない」ことを知らないという結果だった。
■ワクチンについて
「ワクチンとは体外から体に入ってくる病原体を攻撃する「免疫」というしくみを利用したものであることを知っているか」について二者択一で質問したところ、70.8%が「知っている」、29.2%が「知らない」と答えた。
「多くの人がワクチンの予防接種を受けて感染症に対する免疫を得ることで、もし集団の中に感染者が出ても感染症の流行を防ぐことができること(集団免疫)について知っているか」を二者択一で質問したところ、67.8%が「知っている」、32.2%が「知らない」と回答した。
「HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンは、HPVへの感染やがんになる一歩手前の状態になることを予防する効果があることを知っているか」について二者択一で質問したところ、32.0%が「知っている」、68.1%が「知らない」という回答であった。
詳しくは、日本医療政策機構Webサイト参照
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